コレは朝の連続妄想web小説 やねこいの~ の特別編です
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あれから何年経っただろう ずいぶん経ったようであり…昨日のことのようにも思える…
妹がスクールに入ってきた時のことだ
かしゆかは、姉と違って引っ込み思案だった妹に手を差し出した
「握手! 今日から同じ練習生!ライバルでもあり仲間だね!」
彩華は、恥ずかしそうに手を差し出した
「ちゃーぁああぽーーーん!」レッスン室のドアを足で開けてのっちが入ってきた
「やったぁ~!」かしゆかから彩華を奪い取り、のっちは抱き上げた
一人っ子だったのっちは、はじめてあ~ちゃんの家に行った時から彩華のことを妹だと決めていたのだ
「ずるい!」かしゆかはのっちから彩華を奪い返した
かしゆかだって妹が欲しくて欲しくて仕方なかったのだ
「あんまり、甘やかさないでね!」そういいながらもあ~ちゃんは笑っていた
お姉ちゃんたちのようになりたい! 彩華はずっと思っていた
そのためには、お姉ちゃんたちのように仲間を見つけて
お姉ちゃんたちのように、いっぱいいっぱい練習して
お姉ちゃんたちのように、いつも仲間と笑っていよう って思っていた
照明が三人を照らしていた
今
舞台では3人のお姉ちゃんたちが踊っている
汗をタオルで拭きながら観ていると、今までのことが走馬灯のように想い起こされた
ずっとずっと夢見ていた
3人のお姉ちゃんと一緒に舞台に立つ
涙が後から後から溢れ出てくる
そっと誰かが彩華の肩に触れた
その手は、一本…二本…三本…四本
振り返ると彩華だけの仲間がいた
いろいろあったけど…今はこの仲間が私にとっての、かしゆかでありのっちであり…そして、あ~ちゃんでもある。
四人も涙を流していた
「やっと、ここまで来れたね。」
「やっぱりすごいね。ちゃあぽんのお姉さんたちは…」
「負けられないね。私たちも…」
「絶対に追いついて…追い越そうね」
四人は涙声でそう言ってくれた
「うん。一緒にね…」ちゃあぽんはそう応えるので精一杯だった
「このステージで一緒に歌ったこともあるんでしょう?」かんちゃんがそう言った。
「このあと、一緒にやるんだよね…あのPerfumeとだよ。」うっきーが震えていた。
「なんか…夢を見ているみたい…」ひろろが手を強く握ってきた
「輝いているね…お姉さんたち…」うみにーが舞台を指さした
この郵便貯金ホールで、お姉ちゃんたちのパフォーマンスを觀た時のことを思い出していた
あの頃とは比べ物にならないくらいに大きくなったお姉ちゃんたち
だけど…何も変わっていないお姉ちゃんたち
のっちが、舞台袖を一瞬振り向いた気がした
ターボがかかったみたいにダンスがキレッキレになった
「どう?。ついて来れる?私たちに?」
かしゆかも振り向いた気がした
「ほら、笑って! こんな素敵な時間じゃない!」
あ~ちゃんが振り返って手招きした
「では、一緒にコラボレーションしたいと思います!9nineです!」
観客の大きな歓声は雷のようだった
いつのまにか…娘が七人に増えていた三人の母親は、関係者席で涙を流していた
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