小売りの定義 | Centotrenta 代表 加藤いさおのBLOG                        

昨日の旅行記をちと休みにして

 

少し真面目なお話

 

私がヒヨッコの頃から

ずっと通って下さっている顧客様

 

その方は 数々の高級外車を
正規で取り扱う超有名車会社の社長さんで

 

 

雰囲気も堺正章さんのような

粋ないでたちで

 

全てに余裕を感じる方

そして

この方が威張っている姿を

1度たりとも見た事が無い

ずっと低姿勢

逆にその姿が

本当に格好良い

 

 

「なんか入った??」と電話をくださる

 

「今、丁度入荷が無い時期なので

年明けまで待ってください」と言うが

 

「ま、近くおるからちょっと顔出すよ」とおっしゃる

 

そして必ず何かを購入してくださる

 

そしてこう言う

 

「今日車〇台売れたから

かとちゃんとこで何か買わなバチ当たるわ」と

冗談めかしに微笑まれる

 

昨日も閉店間際に連絡があり

 

ご来店してくださった

 

「00さんお車が売れたのですか?」

 

「そうやねん フェラーリとな00とな」

 

「だからなんか買うわ」

 

「そんなん気使わんといてください」

 

「ちゃうねん

俺の中でゲン担ぎみたいなもんや

我々小売業はな

お客さんがお金を支払ってくれて

成り立ってるやろ?

今度はそれで儲けさせてもらったお金を

別の小売店で使う
近いところで経済まわしていかなあかん

俺の中ではそれが
当たり前のサイクルになっててな

起業して30年ずっと欠かさずやってる

儀式みたいなもんや

30年も商いやってりゃ何回も地獄をみた

二度とあそこに戻らない為にも

ずっとゲンを担いでるねん」

 

ゾクっとした

 

「かとちゃん俺はな

ずっとプレイヤーで居続ける事に

意味があると思うねん

新車のフェラーリをベントレーを

アストンをディーラーで買わず

なんで俺から買ってくれると思う?

多分かとちゃんも長年店に立ってたら

気付いてる事やろ?

モノは「何処で買う」「人で買う」に

価値がつくんやで

だからな
必要としてくれている

お客さんがいる限り

俺はずっとプレイヤーで居続けないとあかんと

思ってる

かとちゃんもそうやろ?

かとちゃんやから買う おそらくお客さんは

そこに特別感を見出してるんやで

だからかとちゃんもそのお客さん達にとっては
ずっとプレイヤーで居続けなあかんと

俺は思うねんや」

 

ズシンと響いた

この言霊は 時計屋さんや

インターネット普及によって

画面越しで

繰り広げられている

価格競争とは別世界にいる

リアルな

我々のようなショップに

相通ずるものがある

 

小売りの現場人は

必ず考える事「いつまで店頭におるんやろ?俺・・・・・」

私も起業してふと思う

「現場をステップアップの手段と考えていたらいけない」

 

現場を極める事なんて一生無理な事だ

現場には 天文学的数字の
学びがあり 喜びがあり 哀しみがあり

そして満足がある

だって

 

ヒト対ヒトの答えなんてありゃしないんですから

 

「でも00さん次の世代にバトンタッチは考えてないんですか?」と質問を投げてみる

 

「優れた子達は 背中を見てるよ

そしていつか追い越したいと思う子は

勝手に育ちよる

そしてそういう子が

また素晴らしいプレイヤーになっていくんやで

自然にバトンタッチされていくよ

その時俺は隠居や 笑」

 

「あ、あとな俺が行く店行く店でかとちゃんの話したら
かとちゃんの事
みんな知ってるで
俺はあの子が店立ってた頃から行ってるからって
言える事が嬉しいんやで
それはコツコツちゃんと商いやってきたから

噂が噂を呼んでるんや

でも俺からみたら昔のかとちゃんとなんも変わりない

それがプロやねんで」

 

感無量である

 

 

 

なんて学び多き日

image

やはり我々「現場人」はお客さんから

また「ナニカ」を教えてもらう

 

それが

小売り店の究極のドラマなのだろう。