特定技能⑤ 受入機関としての基準 | 行政書士リテラ法務事務所

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2024/4/29

 

  受入機関として認められるための基準

 

Ⅰ 受入機関になるには

■特定技能外国人を受け入れるには、その受入機関(企業・団体)が、受け入れるのにふさわしいものでなければなりません。

いわゆる"ブラック企業"などが特定技能外国人を雇い入れてしまえば、その後、何らかの問題に発展してしまう可能性が高いと考えられます。

 

そのため法律などにより、特定技能外国人を受け入れてもよい機関かどうかを見極める基準が整えられています。

 

ここでは、企業や団体が特定技能外国人を受け入れられる機関であると認められるための基準を説明します。

 

 

Ⅱ 満たすべき基準

 

 労働、社会保険、租税に関する法令の遵守

■受入機関は労働関係法令社会保険関係法令租税関係法令を遵守していなければなりません。特に労働関係法令については、それに違反している行為が欠格事由の対象となる(特定技能外国人の受入が5年間認められなくなる)可能性があります

 

以下の項目などが確認事項です

・労働基準法等の基準に沿って特定技能雇用契約が結ばれている

・雇用保険料・労働保険料を適切に納付している

・無許可のエージェントから特定技能外国人の紹介を受けていてはいけない

・健康保険や厚生年金保険の加入手続き等を行っており、適切に保険料を納付している

・法人税や消費税等の国税および地方税を適切に納付している

 

*保険料や税の納付について未納がある場合も、地方出入国在留管理局の助言・指導に基づき納付すれば、法令を遵守していると評価されます。そのため未納がある場合には、早めに地方出入国管理局に相談し、納付してしまうべきでしょう。

 

 

2 非自発的離職者がいないこと

■受入機関が外国人と特定技能雇用契約を締結する日前の1年以内、またはその契約日以後に、特定技能外国人が従事するする業務と同種の業務に就いていた労働者(日本人・外国人いずれも)を離職させていてはいけません。

既に雇用していた労働者をわざわざ解雇などして、新しく雇い入れた特定技能外国人にその業務に従事させるというのは、特定技能の制度の趣旨に反しています

 

・定年退職などによる離職は、ここでいう非自発離職者には含まれない

・労働者側に責任のある重大な理由で解雇された場合、非自発離職者には含まれない

・この規定はフルタイムの一般労働者に当てはまり、パートタイムやアルバイトの労働者には当てはまらない

 

 

3 外国人労働者の行方不明者を発生させていないこと

■受入機関が外国人と特定技能雇用契約を締結する日前の1年以内、またはその契約日以後に外国人の行方不明者を発生させていてはいけません。

これは、その受入機関側に責任がある行方不明者を指しますが、行方不明者を出す機関は受入体制が不十分とみなされるわけです。

 

・ここでの外国人は「特定技能外国人」と「技能実習生」のこと

 

 

4 所定の「欠格事由」に該当しないこと

「欠格事由」とは、ある資格を取得しようとする場合に、その資格にふさわしくないとみなされてしまう要因のことを言います。つまりここでは、“受入機関として認めてもらえない要因”のことを言います。

特定技能基準省令では欠格事由について細かく定められているので、特定技能制度を利用して外国人を雇い入れること検討する場合には、この基準省令を確認するのがよいでしょう。

以下に、欠格事由の種類を記載します

 

<関係法律による刑罰を受けたことによる欠格事由>

・大まかな趣旨は、刑罰を受けてから5年間は受入機関になることはできないということ

 

<技能実習認定の取り消しを受けたことによる欠格事由>

・これまでに技能実習を受け入れており、その際に実習認定の取り消しをされたことがある場合、その日から5年間は特定技能外国人の受入機関になることはできない

 

<入国又は労働関係法令に関する不正行為を行ったことに関するもの>

・特定技能雇用計画の締結の日前5年以内または締結以後に、次の例のような出入国や労働関係法令に関する不正を行っている場合には、受入機関になることはできない

【例】

・外国人に対する暴行、脅迫

・外国人のパスワードや在留カードを取り上げる

・外国人への報酬の一部や全部を支払わない

・労働基準法の規定に反する行為を行う

 

<暴力団排除の観点からの欠格事由>

・暴力団員や、暴力団員でなくなった日から5年を経過しない場合、受入機関になることはできない

 

<特定技能所属機関の行為能力・役員等の適格性に係る欠格事由>

・精神機能の障害により特定技能雇用契約の適切な履行に必要な認知等を適切に行うことができないもの、また破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者は受入機関になることはできない

 

 

5 特定技能外国人の「活動の内容に係る文書」を備えおくこと

■特定技能外国人の活動に関する文書を、その外国人が業務に従事する事業所に備えておかなければなりません

パソコン等でデータとして保存しておくことも認められますが、その場合には、すぐに読みやすい書面にできる体制となっている必要があります。

 

「活動の内容に係る文書」に記載すべきことの例は以下の通りです

【例】

・外国人の氏名、国籍(地域)、生年月日、性別など、個人に関わるもの

・就労場所、業務の内容、労働保険・社会保険等の状況など、業務に関わるもの

・雇用契約の内容や雇用条件など

 

 

6 保証金の徴収や違約金

■外国人やその配偶者等が保証金の徴収をされている、または違約金を定める契約があることを認識して特定技能雇用契約は締結してはいけません。

外国人が、特定技能制度を利用して日本で就労するにあたっては、その外国人と受入機関とをつなぐ業者やエージェントが利用されることがあります。そしてこの業者やエージェントが外国人に保証金や違約金を求めることは認められておらず、仮にそれらが存在していれば、受入機関はその事実を知りながら雇用契約を結んではいけないのです

 

 

7 受入機関による違約金の定め

■6と同じ趣旨で、受入機関自体も特定技能外国人の就労について定めた事項に関して違約金を徴収する契約をしてなりません。

 

 

8 外国人を支援するための費用

■受入機関は1号特定技能外国人に対する支援計画を立て、それを実施することが求められます。その際にかかった費用を直接的にも間接的にも外国人に負担させてならず、また負担させないことを外国人に明確に伝えることが求められます。

 

・支援内容は「外国人に対する事前ガイダンス」、「出入国時の送迎」、「通訳の手配」など、法律・省令において定められている

 

 

9 特定技能外国人の派遣

■特定技能外国人を派遣労働者とするには、派遣元がその外国人が派遣先で従事することになる業務を行っていること求められます。また、派遣をすることにあたって、それが出入国在留管理庁と特定産業分野を所管する関係行政機関の長との協議により適当であると認められた場合に限られます。

 

・派遣先となる機関が上記の1~4の基準に適合していることも必要

・派遣をするには様々な基準をクリアしなければならないので、詳細な確認作業を要する

 

 

10 労災保険

■労災保険に関する保険関係の成立の届出を適切に履行していることが必要です。

 

 

11 雇用の継続性

■受入機関側に、特定技能雇用契約を確実に履行していける財産的基盤がなければなりません。これは事業年度の末での欠損金の有無や債務超過の有無などから総合的に判断されます。

 

・例えば直近期末が債務超過であったとしても、中小企業診断士や公認会計士が業績の改善見通しについて行った評価書面などを提出すれば、受入機関として認められる可能性がある

 

 

12 報酬の口座への振り込み

■特定技能外国人の同意を得たうえで、報酬はその外国人の指定する預貯金口座等へ振り込むことになります。

 

・預貯金口座への振り込み以外の方法による場合は、報酬支払証明書の提出など、手続きが増えることになる

 

 

13 特定産業分野ごとの特有の事情による個別の基準に適合している   //