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2024/4/23
受入機関が雇用契約で満たすべき基準
Ⅰ 特定技能雇用契約
■受入機関が特定技能外国人と雇用契約を結ぶ場合、その契約は「特定技能雇用契約」として適切なものでなければなりません。
そのため、受入機関側の判断によって作成された契約事項・内容では、特定技能外国人を受け入れることはできない可能性があります。
■適切な特定技能雇用契約の事項(内容)については、まず「出入国在留管理および難民認定法」の2条5に規定があります。
また、2条5について満たすべき基準は「特定技能基準省令」の第1条において定められています。
以下に、「特定技能基準省令」第1条をもとに、その基準を説明します。
Ⅱ 満たすべき基準
1 従事させる業務
・2号特定技能外国人
「熟練した技能として分野別運用方針及び分野別運用要領で定める水準を満たす技能」
2 所定労働時間
・「所定労働時間」とは、雇用契約や就業規則で定められた労働時間
・「通常の労働者」とはフルタイムで雇用される一般の労働者
3 報酬
■特定技能外国人の報酬額は、同等の業務に従事する日本人の報酬額と同等以上にしなければなりません。同じ業務に従事しているにもかかわらず、外国人であることを原因に報酬額を少なくしてはならいのです。同じ業務に就いていれば、報酬も同等であるのは当然のことです。
・同等の業務に従事する日本人がいない場合は、規定の説明を特定技能外国人に対して行う
4 報酬以外の待遇
■外国人であることを理由に報酬や教育訓練、福利厚生(社員施設や診療施設の利用など)などの待遇について、特定技能外国人に差別的な扱いをすることは禁止されています。報酬のみならず、その他の待遇についても通常の労働者と特定技能外国人を同等にしなければなりません。
5 一時帰国のための有給休暇
■特定技能外国人が一時帰国を希望した場合には、必要な有給休暇を取得させる必要があります。やむを得ない特別の事情がある場合などは例外として扱われますが、通常の場合は特定技能外国人の希望にあわせて、有給休暇の取得を認めることになります。
・雇用契約において、一時帰国希望時の有給休暇(まはた無給休暇)について定めておくのが望ましい
・業務上やむを得ない事情により、一時帰国休暇が認められない場合には、受入機関は代替日の提案などを行うべき
・家族が「短期滞在」で訪日の際には、受入機関は特定技能外国人が有給休暇が取得できるよう配慮をしなければならない
6 労働者派遣の対象にする場合の条件
■特定技能外国人を派遣する場合には、その外国人の在留申請の際に派遣先・派遣期間が定められていければなりません。つまり、あらかじめ定めれらた派遣先に、定められた期間のみその外国人を派遣することができます。
・特定技能外国人受け入れ後に、当初の計画とは異なる派遣先に派遣する場合には、「特定技能雇用契約の変更の届出」を出入国在留管理庁に提出する
・2024年4月現在、特定技能外国人を派遣形態で雇用できるのは「農業分野」と「漁業分野」のみ
7 受入機関による帰国時の費用負担
■特定技能外国人が契約終了後に帰国するための費用を負担できないときには、受入機関が費用を負担します。契約が終了した特定技能外国人については、受入機関が帰国までの手筈を整えるということなります。
・受入機関が航空券の費用の負担を行い、またその購入や帰国までの生活支援を行う
・この費用を特定技能外国人の報酬からあらかじめ控除して、受入機関が積み立てておくことは認められない
8 健康状況や生活状況の把握
■受入機関は特定技能外国人の健康状態や生活状況を把握できる体制を整えなければなりません。例えば特定技能外国人が、我知らずのうちに何らかのトラブルに巻き込まれていることもあり得ます。そのようなトラブルに対処するためにも、受入機関は定期的に特定技能外国人の生活状況を確認する必要があります。
・雇い入れ時・雇用期間中の健康診断、また健康状態についての聞き取りを受入機関が行う
・緊急連絡網の整備や、日本での生活に関して困っていることがないかの確認を行う
9 特定産業分野ごとの特有の事情による個別の基準に適合している
*1~9の基準は特定技能外国人との「雇用条件書」を作成する際に反映させるべきものです。
「雇用条件書」は出入国在留管理庁のホームページから入手することができます。//