2月16日に開かれた第9回遺伝子組み換え表示制度に関する検討会を傍聴してきた。
今回の検討会では、検討会報告書の素案が示されたことで、最終ではないが、報告書の方向性が見えてきた。
内容を簡単にまとめると、
- 表示義務対象品目は拡大しない。
- 表示義務対象原材料(原材料上位3位まで、かつ重量が5%以上)は変更なし。
- “遺伝子組み換えでない”と表示できる要件は、従来の“分別物流管理されて混入率が5%以下”から、混入率0%(検出されない)に引き下げる。
- 従来”遺伝子組み換えでない“と表示できた混入率5%までの原料は、“遺伝子組み換えでない”と表示できなくなる。 このカテゴリーの具体的な表示は今後の検討の課題となる。 これにより、現在の“遺伝子組み換えでない”と”遺伝子組み換え不分別“の2カテゴリーから、”組み換えでない”、新たに出来る“分別の表示”と“不分別”の3カテゴリーに分かれる。
考えられる市場への影響
- “遺伝子組み換えでない“と表示できる食品の数は激減する。 国内原料と言えども、高感度のDNA検査で不検出が要件となると、商業的に取りえるリスクではないとの判断も出るだろう。
- “非遺伝子組み換え“商品であるが、”任意表示“としての”遺伝子組み換えでない“を製品に敢えて表示してきた商品、特に納豆、豆腐等の大豆製品では、”分別”表示を避ける為に、輸入の非遺伝子組み換え原料から国産原料へ切り替えて対応し、従来通り、非遺伝子組み換えの表示を模索する業者もあるのではないか。
- 混入率が5%以下の分別非遺伝子組み換えトウモロコシ、大豆を飼料として使ってきた畜産製品は、新制度で許される分別表記によっては、需要が減り、組み換えでない、もしくは不分別のカテゴリーに吸収される可能性がある。
報告書には、「消費者の自主的かつ合理的な食品の選択の機会を実現するため、消費者が求める情報、遺伝子組み換え農産物の流通状況及び事業者の実現可能性を考慮しつつ、遺伝子組み換え表示制度の在り方について検討を行った」と書かれている。
しかし、検討会では、“検出せず“のゼロトレランス”を求める委員の要望を汲んだ結果、消費者の食品の選択に対する機会を奪い、今まで作られてきた非遺伝子組み換え農産物の生産基盤を破壊する可能性がある。
検討会に参加した委員の中で、非遺伝子組み換え農産物の生産現場、畜産農家、種子会社や事業者の現場に赴き話を聞いた委員は、何人いるだろうか?
机上の議論を進め、制度が上手くいかなければ、見直すとの考えのようだが、一歩間違えれば、生産農家は離れ、非遺伝子組み換え種子の商業生産も止まる。 一度失ったものは、制度を何年も経ってから修正しても戻ってこない。
識者として、消費者の選択に機会を残す結論をまとめて欲しい。
長靴下のロップ