宝石サンゴはいま | ジュエリーブティックセントラル

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         揺れる海の贈り物
    宝石サンゴはいま  21
  未来のための「今」
 ワシントン条約事務局のホームページ。画面中央ではカウントダウンが進む。「0」になるのは日本時間13日夜。カタールで第15回締約国会議が始まるのだ。会期は25日まで。宝石サンゴ議案の行方は不透明だが、業界が大きな節目を迎えるのは間違いない。
 付属書に掲載されれば、国際取引に輸出国の許可証などが求められ、実務面の負担増は避けられない。
 なにより”風評”が業界を襲いかねない。業界団体は既に、取引先に採取の実情や条約の規制内容を説明する準備を進めている。
 それは付属書掲載を免れたとしても、欠かせない取り組みである。サンゴ保護問題は先々の締約国会議で、あるいはほかの形で、いずれ再燃するだろう。持続可能な産業であることを証明し、アピールしていくことは、将来にわたる大きな課題となる。
 資源保護には、「一律的な国際取引の規制より、海域ごとに科学的調査を進め、管理する方が有効」と高知大学の岩崎望准教授は強調する。
 ただし、調査には潜水艇などが必要で費用はたがく。水産庁の担当者は「サンゴは大切な産業だが、水産業全体の中での位置づけはたかくない。国が調査や管理をするのは難しい」と話す。
 国内サンゴ産業はざっと100億円規模、その半分程度が本県関係といわれる。全国的には大きくない。しかし、地元にとっては小さくない数字だ。
 何より本県は貴重な原料の産地。「高知県のサンゴは世界一の評価を受けている。そんな資源が他にありますか」。業界人は力を込めて語る。
 昔ながらの漁法で海え向かう漁業者たち。卓越した技量を持つ加工職人は手を休めず、若手は日々腕を磨く。街には老舗サンゴ店があり、県外や海外で勝負する販売業者がいる。みな先人が築いた伝統を受け継ぎ次の世代へ引き継ごうとしている。  
 宝石サンゴの揺れる今、それは未来のための今でもある。
 今、何をなすべきか、何が出来るのか。資源調査、科学的データの蓄積、採取場所の輪番制、小さなサンゴは海に帰せないか、これまで軌道に乗らなかった養殖は不可能なのか。
 何をするにもまず、業界や自治体、専門家が協力体制をつくり、県民にも理解を呼び掛けなくてはならないだろう。宝石サンゴー土佐の海からの大切な贈り物を、国際社会の”荒波”から守るために。
 
この記事は2010年2月12日~3月13日まで
高知新聞に全21回に渡り連載されたものです。
単なる宝石としての知識ではなく、まさに生活と文化のなかでの、
日本のサンゴジュエリーを語ってゆくのに大変勉強させていただきました。
本当に有難うございました。
高知新聞の経済部
       片岡昭夫様 浅田美由紀様 古井永伍様 井上智仁様
           地域報道部
       福田仁様
       宿毛支局
       村上和陽様
一人でも多くの業界人に、この記事が読まれますように念じております。イメージ 1