BIUTIFUL ビューティフル
バルセロナの裏社会に生きる男が突然の余命宣告を受ける。死に向かう中で生きることとはを強烈に感じさせる人間ドラマ。
ウスバル(ハビエル・バルテム)はバルセロナの裏社会に生きる闇ブローカー。不法滞在するセネガル人や中国人移民への仕事の斡旋、麻薬取引など違法な仕事で生計を立てている。そんなウスルバルはある日、突然の余命宣告を受ける。体を蝕むガンは既に末期でもって2ヶ月だという。ウスバルには2人の幼い子供がいたが、別居中の妻は精神不安定で子供の将来を託すことができず、ウスバルは死に向かう中で何を子供に残せるか手を尽くすのだが、次々と難問が待ち受けていた。
<死のにおいが立ち込める中で生きることとはを考える>
余命宣告を受けてしまった時、人はどうするのでしょう。最期を向かえる中で自分の人生を振り返り安らかな時間を過ごすのか、それとも自分のやり残したことを果たそうとするのか。しかしウスバルにはそんな暇は全くないほど次々と問題が立ちはだかります。気にかけていたセネガル人が警察につかまり、強制国外退去になると残った妻子のために生活基盤を確保してあげたり、劣悪な環境で働かされている中国移民たちには寒さをしのいでもらおうとささやかなプレゼントを贈ったら、それが裏目に出てとんでもない悲劇が起きてしまい、その処理もしなければなりません。別居中の妻は精神不安定でとても子供の面倒を任せられません。自分のことは何一つせず(できず)、次から次へと降りかかる災難とガンに蝕まれていく中で一体自分は何ができるのだろうか、そして子供たちに何を残してやれるのだろうかと奔走するその姿は聖者のようでした。
ウスバルは死者の声を聞いたり姿を感じ取ることができる特殊な能力を持っています。この当りはややSFチックで違和感もあるのですが、とにかくウスバルの周りには絶えず死のにおいが付きまとっています。死者の存在を感じながら自分も死にゆく中で生きている。死を意識してこその生きることとはを強く感じさせる作品です。
最近この作品を語る機会があり、ずっと引っかかっていた謎がやっと解けました。最期に天井にへばりついていたあの霊は出て行ったセネガル人女性なんだ、彼女は大金を持ち逃げして故郷に帰る途中殺されてしまったに違いない。ああ、残された子供はどうなってしまうんだろう?そうだとするととてつもなく悲しい結末だと思っていたのですが、あれはウスバルだったんですね。セネガル人女性はちゃんと戻ってきた。それで救われました。

