「意識したところにエネルギーが流れる」という有名な法則がある。
換言すれば、「意識しなければエネルギーが流れない」ということだ。
ただし、エネルギーの種類にも拠る。
普段、内臓の働きを意識していなくても、生命エネルギーはいつも流れているし、無意識的なカルマの力も動いている。
だがカルマ解消のエネルギーは流れにくい。観照により、意識化する事が大切なのだ。
カルマそのものを否定する人もいる。
特に引き寄せの法則の界隈に多い。
宇宙存在バシャールもカルマの法則を否定していた。
それは彼らがカルマというものを、固定化された運命シナリオ的に捉えているからだ。
リグ・ヴェーダを原型としたカースト制度は、カルマを論拠としており、死ぬまで変えることが出来ない。
カーストが低い者でもその身分を通じて社会に奉仕する生き方をすれば、カルマが解消され、来世はカーストの上位階級になれるという。
これをカルマ・ヨーガと言う。
果報を求めず、己の本務を尽くす道である。
その意味ではカルマを変えることは可能だが、一生のうちに身分を変えることは出来ない。
これでは運命論に等しい。
仏陀釈尊はその様な固定化されたカルマ思想を厳しく批判した。
一生のうちにカルマは解消できる…と。
だが、この道も厳しい。生半可な覚悟ではカルマの全てを解消して輪廻を超えることは出来ない。
引き寄せの法則の連中は、それをもっと簡単なものにしたがる。
意識の力だけで全ての問題を解決でき、願いを叶えることが出来る…と。
だが、私が観察したところ、引き寄せの法則の指導者も、見事にカルマ通りに動いている。
変えることのできた現実は5%ぐらいで、残りの95%はカルマのシナリオ通りであった。
いかに強力な引き寄せメソッドを使っても、物事に失敗する時はある。
叶わない願望もある。
思わぬ軌道修正を強いられる時もある。
私がその人のカルマを透視すると、見事なまでにカルマに操られていた。
「願望が叶った」という現象さえも、カルマのシナリオ通りだったのだ。
ある意味、当然ではある。
彼らは意識の力を過信し、現実世界の物理法則を軽く見ている。
そんな腑抜けた根性では、解消できる筈のカルマさえ解消できなくなる。
本気で人生を変えたければ、意識だけではなく、身・口・意で全力を尽くせ。命懸けで。
「カルマは無いと思えば、カルマは無くなる」
というエセ指導者たちの甘い言葉に惑わされないでほしい。
それは目覚めとは真逆な「眠りに誘う言葉」である。
無意識の世界は広大無辺だ。
一度に全てを意識化することは不可能である。
だから、いくら「カルマは無い」という信念をインプットしても、無自覚なカルマには届かない。
厚い壁に遮られている。
私達はひとつひとつの行動において、生命エネルギーを注いでいる。
だからその行動記録・カルマは決して軽くはない。
生命の記録・叫びそのものなのだ。
そんな重いものを、「無い」とインプットするだけで、消せると思うのかね?
そんな安直でインスタントなものを期待するのは、生命の重さが分かってない証拠だ。誠意が無さすぎる。
カルマ解消とは、自分の生命の痕跡・歴史に向き合う道なのだ。
真剣な姿勢が求められる。
覚悟なき者に解放は訪れない。
瞑想が深まり、「今・ここ」に鎮まると、過去や未来が消え去ったような感覚を覚える。
それは当たり前なのだ。
私達が現実に体験できるのは今ここという時空間だけだが、それがより鮮明に浮かび上がり、クリアになる。
だが、その体験を支えているのは、現在のエネルギーだけではない。
仕事に関する知識や技術を学ばなければ、その仕事は出来ない。
日本語を学ばなかったら、日本語が理解できない。
必要な知識・経験を蓄積しなければ、体験できることが限られてしまう。
つまり、実際に生きるのは「今・ここ」だが、その生命体験を支えるベースは「過去の記憶」なのだ。
肉体レベルでは遺伝子・DNAに膨大な記憶が詰まっている。
「生きること」そのものと「生きることを支えているベース」を混同しないでほしい。
ノーマインド系やライトワーカー系の人は、このベースを見落としている人が多い。
現世では、現世で解消するべきカルマがある。
魂が今回の生を選んで生まれてくるとき、「本来の願望」と「今生でクリアする課題」を決めている。
こうして人々は今世を生きているわけだ。
そして現在まだ魂の願望が十分に達成されていなくても、カルマ解消が順調に進んでいる場合は、新たな次元のカルマが現われる。
来世で解消する予定だったカルマである。
そういうものが現われるということは、修行が順調に進んでいる証拠である。
現世のカルマ解消がどんどん進んでいるので、来世に予定されていた課題も今生に現われるのだ。
その流れに入れば、カルマ解消のスピードが速まり、現世で全てのカルマを解消できる可能性も出てくる。
その人のカルマの総量にも依るが、現在の次元転移の流れでは、カルマ解消が楽にできる応援エネルギーが大きいので、決して不可能ではない。
そうなれば、後は本来の魂の願望を満了させるだけだ。
魂が体験したいことをどんどん体験する。
願望をどんどん叶えて、幸せをいっぱい重ねる。
そうすれば魂の成就、満了である。
そこまで至った人は、生死を超えた究極次元の悟り、覚醒に至れるかもしれない。
ただ…決して安易なものではない。
カルマ解消も願望達成も、そこに命懸けのエネルギーを注ぐことに意味がある。
全身でまっすぐに生きない限り、真のカルマ解消は出来ないし、願望も単なる「エゴの満足」というレベルで終わってしまう。
特に注意すべきは、「来世で解消する予定だったカルマが現われた時」である。
思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性が高い。
私は何度もこの罠に嵌まった。
今後も油断できない。
では、どんな落とし穴なのか?
現世で解決すべきカルマは、現在の思考や感情の癖に現われている。
それがヒントである。
自己観察をしっかり行なうしかない。
真剣に続ければ必ずヒントが見つかる。
カルマの力はとても強いため、基本的な思考パターンはなかなか変わらない。
引き寄せの法則や成功哲学を学んで、意識がプラスになっても、思考展開の基本構造はなかなか変わらない。
「性格を変えることは出来ない」と言われるのも、そのためなのだ。
昔と比べて性格が明るくなり、前向きに考えることが出来るようになっても、思考の論理展開の基本パターンは変わらない。
だからカルマは怖いのだ。馬鹿することは出来ない。
自分の環境、両親との関係…、
そこにも大きなヒントがある。
親子関係のカルマは大きい。だから今回の生の最重要の課題なのだ。
ところが、来世に現われる予定だったカルマの場合は、それが必ずしも当てはまらない場合がある。
現在の親子関係をどんなに見つめても、そのカルマが見つからない事がある。
カルマそのものの種類が違う。
つまり、まったく別の時間軸のエネルギーに影響されるのだ。
ただし、今の話はあくまで可能性の話である。だから当てはまる可能性もある。
特に日本人の場合、国土のカルマ、民族のカルマ、家系のカルマ、個人の過去世のカルマが強く引き合う。
だから一度日本人として生まれてきた人は次の生でも日本人というケースが多いし、しかも同じ家系に生まれてくる確率が高い。
故に今世で親子関係の人たちが過去世でも親子だったというケースが多い。
その場合、親と子の立場が逆ということもある。
または夫婦、兄弟、姉妹という事もある。これはかなり多いね。
前世で熱烈な恋愛関係・夫婦だった人が、その愛着のエネルギーが強すぎるが故に、カルマ的に引き合ってしまう。
その結果、現世では「同じ血」…親子になるケースがある。
こうして見ると、身内だけでもカルマが膨大である。
今世だけで解消するのは難しい。
故に来世の課題も同じ家系の血縁関係者とのカルマ解消になるかもしれない。