熊本でチャイコフスキーの『ロココ風 変奏曲』を4回も弾いて来ました。

しかもピアノ伴奏で!
本来オーケストラと弾く協奏曲をピアノ伴奏でやるなんて、学生時代の試験ならまだしも、普通の音楽会ではやりません。ピアノ伴奏だと、通常はオーケストラの大音量で掻き消されてしまう細部も丸聞こえ状態になってしまいます。そんな若者が好んで弾く技巧的な曲を、50代のオジサンが全力で弾く様を目の前で聴いたお客様は、さぞかし面白かったかと思います。
熊本最後の4回目の本番は午後4時開演。その前に会場の近くをブラブラしていたら、こんな懐かしい物に出くわしました!
昭和な風景ですねえ。子供の頃は、そこらじゅうにフワフワしていたものですが、すっかり見かけなくなりました。ところが久しぶりに見たアドバルーンは、時代遅れどころか、かえってその濃厚な妖しさで、薄っぺらなSNSの広告なんかを凌駕していました。なんだか江戸川乱歩ワールドを連想してしまいますよ。「あのアドバルーンは怪人二十面相ののろしだ。明智君、今晩、何かが起こるよ!」みたいにね。
そしてこの後弾いた最終回のロココ変奏曲、弾きながら、ふと思いました。ピアノ伴奏でこの曲弾くの、もしかしたら人生最後かもなあと(元々ピアノ伴奏でやらないから)。よ~し、それならそうと覚悟を決めて、ゴール前100メートルのラストスパートだ、と気合が入ります。
それぞれの会場の素敵なオーナーやスタッフに支えられた全4回のリサイタルが終わり、ほっとして外に出てみると、いつの間にかアドバルーンは消えてなくなり、その代わりに月が出ていました。

夕方6時で、まだ暗くならないなんて、西日本だからでしょうか。知らないうちに日の長くなって来た明るい熊本の夕暮れには、春の気配も少し感じましたよ。
