今回は暖房のお話しです。

わが家の暖房は、庭に設置してあるタンクに灯油を満たす事により保たれ、タンクが空になってくると、金曜朝8時過ぎに巡回して来る灯油屋さんが継ぎ足し、入れ終わるとピンポ~ンと玄関先で料金の支払いというシステムとなっております。

ところで朝早くから、お仕事をされている方々には大変申し訳ないのですが、僕は毎朝8時少し前に起きています。
ですから今年の冬は、どうした事か朝7時半に、やってくるようになってしまった灯油屋さんに少々困惑しているのですよ。

この灯油屋さん、毎年、担当者が代わるのですが、その我々を全く飽きさせない人材の豊かさには感嘆の声をあげざるを得ません。

例えばある年の担当は、雪だるまが そのまま玄関に現れたかのような色白小太りの、人よんで『雪の精くん』。冬しかやって来ないし。

他にはピンポンを鳴らしてから、僕が玄関に出るまでの間、当時玄関脇に飼っていたウサギと会話している様子がインターフォン越しに、まる聞こえだった方。あだ名なし。

灯油が年々高くなってきている事を燃料業界を代表して、毎回弁明してくれた方。よほど僕が名残惜しそうに万札を出すから見兼ねたのでしょうか?特に あだ名なし。

またある年は、ジェントルマン。道路に停めたタンク車から庭のタンクまではホースを伸ばして来るのですが、そのホースが庭の草木をなぎ倒さないよう細心の注意を払って下さった優しいおじ様。
ある時、庭のタンクが少し傾いて来たので、直して差し上げましょうとご提案下さったのですが、その後、長い事、連絡なし。察するに、僕に対する親切な提案を、会社に持ち帰ったら即、却下されたのではないでしょうか?なんで灯油屋が穴掘りしなきゃならねえんだよ!的に。
可哀想なジェントルマン!(結局、夏に若い衆達が来て直してくれました) 

そして今年の人です!!
朝8時に目覚める僕です。深い眠りの真っ只中、7時半に玄関のチャイムが鳴ったら何事かと思いますよね?
パジャマ姿のまま、抗議の意味も含ませて、わざと凄く眠そうに玄関ドアを開けると、その方、そんな事、全く意に返さず「灯油屋です!」
僕の「まだ7時半なんで眠いんですけどアピール」なんて、この方には蛙の面に小便のようです。
普通なら、すみません!やはり早過ぎましたね?くらい釈明がありそうなものですが、その蛙の面に全くつけ入る隙なし。アッパレ!!


ところが、ある事をきっかけに、彼と僕との間に変化の兆しが見えてきたのです。
それは1月の木曜日に大雪の降った翌朝、いつもの金曜日の朝の事でした。
普通なら来るの無理ですよ。タイヤにチェーンを付けたとしても、坂道だらけの我が家界隈の道路はカチンカチンに凍っています。
彼は、うちの灯油が残り少ないのも先週見て知っているし、灯油を必要とする他の住民のためにも自分が行かなきゃと思ったのか、凍てつく坂道を無謀にも登って来てくれたのです!

そしてガチっとハマってしまいました。

1人で黙々とタイヤ周りの氷を叩いています。可哀想なので、本来ならお手伝いしたいのですが、僕は今から仕事で助けられないのです、と言いに行ったのですが、「大丈夫っすよお」と恐ろしくメゲていません。後で聞いたら、こういう氷でハマってしまう事、あの日、他でも何箇所かやらかしたらしいです。なんびとたりとも彼をメゲさせる事は出来ない・・・

多少、仲良くなったとはいえ、やはり前夜演奏会で寝るのが遅くなり、さらに翌日の夜も演奏会、夜に集中力の山を持っていくために朝はゆっくりしたい時等に、7時半のピンポンは少々キツイ。
そこで、ついに
『灯油屋さんへ
昨晩、寝るのが大変遅くなってしまったので
ベルは8時以降押して下さい!』
と張り紙してしまいました。

そうしたらピンポンしなかったですよ。
意外と繊細?
そしてその日は昼頃集金にやって来て、今度から振込みって事も出来ます。その場合は、この用紙に必要事項を記入して会社の方に送って下さいと用紙を置いて行きました。
「いやね、さすがに7時半は早いかなと思ってたんですよ」とも言い残して。
だったら・・・

僕は、その用紙に全て記入したので、あとはポストに入れれば良いだけです。そうすれば、あの方に起こされず、気分良く目覚めることが出来ます。
しかし待てよ、これを送ってしまったら、もうあの「蛙のツラ野郎」とは話せなくなってしまうかもしれない、それにもう少しで春なので、冬の使者である彼らは、どこか北の国に帰って行ってしまう。


僕は、その紙を捨てましたよ。

そして、その週の金曜日には、こんな張り紙しておきました!