去るものあれば、来るものある。
N響の本番服、普段の定期演奏会の時は燕尾服、夏の演奏旅行シーズンになると背広となり、我々はそれを着て全国をまわる訳なのですが、要するに燕尾服は、夏の間、ヴァカンス気分でゆっくり出来るという事になるのです。
僕の長年の友の燕尾服くん、今年もヴァカンス前に、まずはシーズンの汚れを取るべくクリーニング屋へと向かいます。
思えばコロナ禍には演奏会が無くて、自宅待機が続いたなあ。今年はクリーニングしたら、久しぶりにどこかに行こうか等と考えながら、お店に入ったようなのですが、どうも今年は店主の自分を見る目が、厳しい。
燕尾服くん、すごく言いにくいんだけど聞いてくれるかい?
ええ、なんでしょう?
これ以上、君を洗うと、
君は
バラバラになっちゃうんだよ!!
えええ!!
では、もう洗ってくれないんですか!
ガガガ ガーーン
あと5年(再雇用終了まで)もってくれればN響生活をこの燕尾服と共に全うできたのに。楽器の当たる箇所がことごとく擦り切れています。よく働いてくれましたが残念無念。
もはや、ここまでか・・
という訳で、行ってきました!!
憧れの、大阪は、その名も『まっさん』!!
デパートの紳士服売り場とは対極的な、舞台人のために特化した舞台衣装専門店です。


ああ、なんという徹底した現場主義。
なのに激安!!
よく楽屋で繰り広げられる僕の憧れの会話に、こんなのがあります。
この燕尾服いくらだと思う?ええ、分かんない。〇〇円だよ。うっそおーー!!マッサンだよ、軽いよお。へえ、いいなあ!!
ついにこの秋からは、僕も、こんな事が言える人になるのです。
『まっさん』のレジの明るいおばさんの大阪ギャグに全く返しが出来ず、申し訳ないと思いながらお代を払い、ちょっと裾上げとかのお直しもあったので送って貰う事となった燕尾服が、先日、大阪から届きました。
簡易的な包装に入ったニュー燕尾服は、普通、紳士服ってハンガーに掛けて衣装ケースに入っているものですが、そのままハンガーもなく長〜いビニール袋に折り畳まれて入っていました。さすが質実剛健。無駄な経費をかけないし、数日くらい折り曲げられていても皺ひとつ付かない。
それにしても、あまりお見かけしない長〜いビニール袋です。
三つ子の魂百までではないですが、僕は再利用の権化である母親の教育からいまだ脱却出来ず、この特徴あるビニール袋が捨てられません。
それで、
うちの脇道、草ボーボー。

さて夏休みも後半に入りましたね。
この秋はソロ、室内楽ともに楽しみな本番が目白押しです。準備が間際になると辛いので、今年は早くも取り掛かっておりますよ。
『まっさん』燕尾服のデビューは9月15&16日のN響定期演奏会です。
どんな弾き心地なのか、今から楽しみです!



