大阪や福岡を廻るN響のツアーから、今、羽田空港に戻って参りました。

いやあ、今回は帰ってきたぞ感が、なかなか強いなあ。まるで未知の世界から戻ってきたかのようです。

それもそのはず、今回のN響の演奏旅行は通常のブラームスやベートーヴェンの交響曲ではなく、

「ポケモン・ツアー」だったからなのです!


ポケモンは今やN響のありがたきスポンサー。神様、仏様、ポケモン様なのです。


さて、リハーサルの日の事なのですが、練習場に着くと、いつもと何だか雰囲気が違います。普段とは違う所にテーブルが出ているし、なんだか華やかだぞ。テーブルの上を見ると、ピカチュウ?



これってピカチュウというののぬいぐるみですよね?その他にもポケモン・グッズやポケモンお菓子が山盛り、そして、その周りを笑顔のピカチュウが歩き回っているではありませんか!

ここはポケモン好きの方にとっては、まさに地上の楽園と化しています!!



ところが、せっかくピカチュウが来てくれているのに、僕は生来、着ぐるみというものが苦手なのです。外側は可愛いキャラクターでも、実は中の人が動かしているという二重構造が気になるし、中の人が僕の事をどう思っているかという事にも懐疑心が芽生えてしまう。表情がひとつなのも不気味だし、図体が大きいのも少し怖い。皆のように「可愛いい!!」と言って抱きついたり、ツーショットを撮ったりする気持ちになりたいのになれないのです。それで、いつでも逃げられる距離から写真を撮っただけでした。
皆さんのように、無駄な警戒心のない素直な人になりたいものです。

今回の4公演、発売1分で完売したそうですよ。それだけのファンを世界中に持つポケモンの良さが、ゲームをした事の無い僕には残念ながら分かりません。
その満員のお客様は、だいたい20~45歳くらいかな。いつものN響のお客様より年齢層が低かったしクラシック音楽には馴染みが無さそうでしたので、プログラム前半でクラシックを少し聴いて頂いたというのは客層開拓的には良かったかもしれません。
そしてプログラム後半は、皆様、お待ちかねのポケモン祭りです!
N響も向かって左側の奏者、すなわちヴァイオリン等は赤のポケモン柄のネクタイかスカーフ、右側のチェロ他は緑のネクタイかスカーフをし、次から次へとポケモンの曲を演奏致します。この赤と緑というのもポケモンの世界では何やら大事な色のようです。そして多くのお客様は、専門用語でパートナーと呼ばれる推しのぬいぐるみと共に聴かれています。
また我々N響団員の中にも、30年来のポケモン・ファンという者がおりまして、その者たちが曲間でトークし、更に盛り上げていく訳なのですが、専門用語の嵐で僕には接続詞しか分からない文脈でも、お客様には、しっかり通じているようで、どっと湧いたりしておりました。

楽屋で着替えながら、先ほどトークした仲間も交えて話しをしましたが、あれだけの大観衆に専門用語を分かりやすいように噛み砕いたりもせず、そのままぶつけて通じるって、なかなかない機会だよねえ、というのが皆の共通認識でした。まあ反対に、それを分からない人には全く話しが分からないという事にもなるのですが。

また曲も、ゲーム内での情景が浮かぶ人には感動があるようでしたが、情景を知らない僕は、膨大なリズム的要素の強いチェロ・パートを、一心不乱に弾いていくだけだったのです。若い頃からポップスの仕事をしてこなかった僕は、こういう今どきのリズムが苦手です。シューマンの交響曲だったらなあ。得意なんだけどなあ。
そんな苦手なポケモンの曲、初日は、今晩の自己評価78点だな、くっそー!と思ったりしていても、2日目は少し慣れて86点、よし!明日はもっと点数上げるぞ、と連日、開演前ステージ練習を若者の2倍して、日に日に高得点をあげられるようにはなってきました。

旅中、連日、今晩こそは満点!と思っているので、昼ごはん時、ラーメン屋にいても微粒気合いがずっと入いっています。
微粒気合いを保ちながら福岡では行列の出来る人気の泡系ラーメン屋に行きましたが、僕はやはり、ここ「ナンバーワン祇園店(福岡のね)」みたいなのが好きだなあ。


昔からあって目新しくないけど美味しい!地元の人しかいなくて落ち着きますよ。

そんな訳で、知らない世界を、もがき泳いでいた数日間、時の観念が無くなって、一体全体、何日経ったのか?

はあ、何日ぶりかで現世に戻ってまいりました。