N響北海道ツアー、最終公演地、札幌へ向かう特急列車の中で、このブログを書いています。


北海道の住宅地を抜けながらの住宅ウォッチング、はたまた公園斜め横切りでの近道をし、

ずっと持ち堪えていた天気も崩れて、今日は朝から雨。でも、それは今の僕の気分に、ぴったりな天候です。なぜなら僕は、昨日の事が尾を引いて、重く沈んでしまっているからなのです。
今回の演奏旅行は7泊8日、東京公演も入れると6回、マーラーの交響曲を弾くというもので、楽屋で着替えていると、どこからともなく、今回の旅、長いねえ、という呟きが聞こえてきたりしています。
演奏旅行は、4~5日だと一気にいけるけど、1週間を超えるとなると、確かに長いと感じます。
ところが、今回の旅が随分たっぷりしているなあと僕が感じるのには、別の理由もあるのですよ。
それは、
『現地に到着してから本番までの微妙な空き時間に、映画を観る』
というミッションを敢行したからなのです。
旅という、ただでさえ非日常な環境時に、更に非日常な世界に誘ってくれる映画!
それはまるで「非日常の重ね焼き定食」のようなもので、お腹ではなく心を豊かにしてくれました。
まずは、前夜に到着しているので朝から時間が使える帯広より、このミッションは始まったのでした。
ホテルの隣りが偶然 映画館でしたので朝食後、さっそく行ってみました。午前中から映画なんて普段ありえない事です。
そしてトップバッターはこの映画、これは凄かった!!
期待しないで観たのですが、ところがどっこい、激しく感動をしました。
ここに描かれているのは、明日にでも起こるかもしれない現実です。
「GODZILLA」が福島第一原発事件を暗に描いているものなら、これは、あからさまに尖閣諸島問題を取り上げています。
先制攻撃の出来ない自衛隊を、あざ笑うかのように法を踏みにじってくる侵入国。あのような場面では、法律はこうなっていますよお、なんて相手に紳士的にお話ししているそばから、お構いなしに撃たれるのですね。
それにしても自衛隊の方々って、人間的にも偉いです。
以前、お世話になった自衛隊の方の退官パーティーで演奏した事があるのですが、皆様のスピーチから感じられる人間性に感動した思い出があります。この方々のご苦労の上に、我々は、のおのおと暮らしているのかと、僕はつくづく申し訳ない気持ちになったものでした。
日本の今、置かれている状況を深く認識させられ、重い感動と興奮に浸りながら、館内にはそれくらいしか腹の足しになる物がないピザ何とかという物を昼食として食べながら、20分後に迫った次の映画に備えます。
お次はこれ!

はっきり言って、ジャス・ピアニスト ビル・エヴァンスとは、こういう方だったんだあ、という以上の感想はなかったです。でも、誰に認められなくても、常に真実の演奏をするべしというエヴァンスの信念には、気持ちの引き締まるものを感じました。
翌日は釧路に向けて出発です。
今回は、北の大地を列車で行くひとり旅にしようと考えていたのですが、思いがけず釧路まで仲間の車に乗せて貰えました。
車での旅は、仲間と沢山話せて楽しいという以外に、駅から離れた場所で、ご飯が食べられるという利点もありますね。
そして肝心?な、この日の映画は、これです!

その時にやっているものを、選り好みせずに観る、というルールを今回、勝手に設定しているので迷いなく観ましたが、面白かったですよ。ただ残念な事に、N響のステージリハーサルに余裕を持って行く事がまず大事なので、ラスト10分を観ずに退出。映画館を出ると、まるで映画のように目の前にタクシー登場。出来過ぎのタイミングで乗り込んだタクシーの運転手さんが、何を観たんですか?と聞いてくるので、恥じらいながらゴジラ対キングギドラです・・と答えると、思いがけずこの方、感嘆の声をあげられるではないですか!ゴジラ大好き運転手さんでした。
さて、映画館というものは、特に地方の場合は必ずしも駅前にある訳ではありません。ここ北見では、駅から結構遠い丘の上にありました。
そして、この日の映画も選り好みしないというルールにのっとり「ザ・ファブル」。
物凄く強い殺し屋のお話しです。

シンプルに面白かったです!強い者には、幾つになっても男は惹かれますね。
その、あまりの衝撃のために翌日である今でも僕は暗いのです。
社会派映画なのに大ヒット中。都内では連日満席で入れない事もあるそう。
ニュースで聞いた事のある現政権の諸問題を連想させるテーマを、真正面から取り上げているので、すごく勇気のある映画だと思ってしまいました。
主演 松坂桃李さん始め、出演俳優、皆さんとてもとても素晴らしかった!!主演女優のウンギョンさん、特に素晴らしかった!!
何が素晴らしかったのか、まだ自分の中で消化出来ていませんが、大変な衝撃を受けたのだけは事実です。
この日、僕は思いました。
マスコミは様々な事情から真実が言えない場合もあるけれども、音楽家は、常に真実を伝えられる貴重な職業。
これからも、お客様に真実をお届け出来るよう、僕として出来る限り技術を磨き、感性を研ぎ澄まし、今後も精進していこうと。
七夕の日に北海道に入り、はや1週間。ようやく最終公演地、札幌に『新聞記者』の重く長い余韻を引きずりながら到着しました。
雨が上がった!!
ホールが素晴らしかったためか自然と演奏に気合いが入り、終演後は『新聞記者』の影が少し薄まりましたよ。
帰ったら、またN響はリハーサルをして、すぐ今度は大阪→四国→鳥取への演奏旅行です。
今度は何をして自分を豊かにしましょう?










