この夏、僕はお父さんになりました。
いえいえ、新たに子供が生まれた訳
ではありません。
実は、こんな事があったのですよ。
先日、25歳になる僕の娘が、長年付き合っていた彼氏からプロポーズされたと言って、すごく嬉しそうにしていました。女性にとって、プロポーズされるって、男性が想像するより遥かに嬉しいものなのですね!
なんでそんな事を言うかと申せば、男性にとってのプロポーズというものは、成功すれば人生が光り輝く訳ですが、ええ結婚?それはちょっと・・とお断りされる可能性もあるわけで、でも輝く未来のためには、くぐり抜けなければならない厳しい関門の1つという側面もあるからなのです。
さて現在、そんな人生の難所を一つずつ、くぐり抜けている娘の彼氏を待ち受ける次なる関門とは、いったい何でしょう?
そうです!
「お父さん、娘さんを私にください」の儀式ですね!
これは男なら誰しもが緊張するし、気が重い儀式。避けられるのなら、そんな事しないで通り過ぎてしまいたい。しかも、これって通りすがりにパパッと言えるようなものでなく、きちんと会を設定して、本日が何のための会かバレバレの中、敢行しなければならないのです。
某月某日、我々一堂、何のために集まったのか、分かりすぎるほど分かっているに、「それ」については誰も触れず、夕食会は楽しく進行していくのでした。
今、最もホットな話題、例えばプロポーズした時の様子とか、独身者用の社宅からいつ引っ越すの?とかは、彼を、ほらほら今、なんか言う事あるんじゃない?と追い込む事になりかねないし、我々も、なんかそういう場面になっちゃうのドキドキするしで、一堂、浅い話題で時間を稼ぎ、その時を待ちます。
なかなか始まらないなあ。
ひょっとして最近の若者は「お父さん、娘さんを」は、やらないのかなあ。もしかして、この会を催したというだけで、うやむやのまま緩やかに結婚了承という意味合いになってしまうのか?今どき昭和の映画みたいなのを期待している僕は古いのかなあ?等と考えていた、その時です!
彼が不自然にゆらゆら動き出したかと思うと、今まで家内とネコの話しばかりしていたのが、にわかに僕の方に向き直り・・・
昭和の親父さんのような威厳もなく「こちらこそ、どうぞ よろしくお願いします」としか言えなかった僕ですが、今日まで娘を庇護してきた重しが、今、目の前で彼の方に移っていくのが見えたような気がしましたよ。
それはそうと、今日の僕は聞き役だと油断していたので、もし彼が想定外にもカッコ付けて英語で言ってきたりしていたら、しどろもどろになって末代にも語られる失態をさらしてしまったかもしれません。
今頃、それに気付いても遅いですが、まあ、これで2人は大人へのスタートラインに立った訳ですし、僕も、僕って父親だったんだと、この夏、改めて自覚したという次第でした。