江戸に気候変動型天人が突如、飛来してからというもの、、、春先にも関わらず例年の空気を破り真夏日を彷彿とさせる気温に包まれた某日―――

水着姿で一階の店の裏に設置されている蛇口にホースを繋ぎ、汗の噴き出す自身の火照った身体に勢い良く水を放射した銀時は期待を裏切りぬるま湯と化す液体に辟易とし、諦め悪くも肌を伝う水滴を舌で舐め取った。

「あ~…しょっぺェ、、、」

塩辛い刺激を味覚・触覚共に受けた拍子に、日陰で定春に凭れて休んでいた神楽が緩やかな反応を見せる。

「銀ちゃ~ん…それ、熱中症に効くアルか?」

暑さに脳が蕩けているのか、いずれにしても視線の先に蜃気楼が映っているとしか思えない言動にただならぬ異常を感じ、屈み込んだ銀時は己の手の甲をピタリと神楽の頬に辷(すべ)らせた。

「オイオイ…勘弁してくれよ、、、熱帯砂漠に不時着した時みてェになられても宇宙から救援なんて来ねーんだぞ~……

…ってコラ、なに人の身体で水分補給してんだ?」

ぼんやりと瞳を据わらせつつも押し当てられる銀時の片手首をぎこちない動作で掴んだ神楽は、彼の汗ばんでいる掌や指先に夢中でしゃぶり付く。

「ん~…美味しい……さっき銀ちゃんが自分で舌を這わせてた場所はどこネ?思い切り吸い付きたいアル、、、」

一瞬の間を置いて目元をもう一方の手で押さえた銀時は気の抜けるような溜め息を吐き、どっと冷や汗をかいた。

「お前なァ…夏場にへばってる猫じゃねーんだから塩分くらい他のモンで代用しろよ、、、ったく……」

「文句言うんじゃねーヨ。本当はすぐにでも抱かれたくてウズウズしてんのに……これ以上、銀汁が不足したら干からびてミイラ化どころじゃなくなるモン、、、う~…欠乏症アル……銀ちゃ~ん、えっちしよ~…」

言うが早いか夜兎族の習性も忘れ、日除け対策を放った神楽に全身で体当たりをされた銀時である……が、熱に浮かされながらも二人揃って地面へ激突するようなヘマは見せず、寸での所で踏み止まる。恐らくこの銀河系で眼前の胃拡張娘の馬鹿力を受け止められるのは自分だけだと呆れつつ、、、

すると傍の窓際でいつの間にか此方を覗き込み、冷やかしの視線を送るキャサリンとお登勢の姿に銀時は文字通り血の気を失った。

「ヒュ~ヒュ~♪酷暑に負けないくらい、お熱いデスネ~…坂田サ~ン。今夜はお楽しみカヨ~?テメーらァ」

「アンタらねェ…只でさえ暑苦しいってのに、こんな明るい内から温暖化に拍車かけるんじゃないよ。もう夕方だけど」

「イヤイヤイヤ!!!!!?おかしいって!!そのリアクション!!!!肌色強めなアラサー男が義務教育必至のガキに援交持ちかけられてんだぞ!?せめて白い目で見るなりしてくんねーと却って俺の立場がねーだろうがァアアアア!!!!!!」

「 安心するヨロシ。この地球上でもう誰も銀ちゃんと私の仲を否認するバカは存在しないネ……あ、因みに避妊はしなくても大丈夫ヨ。銀ちゃんからの精液(あいのあかし)は私が責任持って受胎…、」

「オメーは黙ってろ!!!!!!(汗)」

* 

「どいつもこいつも…他人事だと思って面白がりやがって……」

気分的にもはや避暑を満喫する(?)どころではなくなり、夜が更けても摂氏30ºC超えを更新する自宅へ引き上げつつも一向に電気を付けようとしない銀時に対し、一足先に玄関でサンダルを脱ぎ捨てた神楽は、いつもの毒舌で疑問を口にした。

「どうしたネ?暗がりのままじゃトイレも行けないアル。早くスイッチ入れろヨ、天パー…、……ッ」

先程までの言動も何のその、外気と比べほんの僅かに涼を纏った室内の一角でいつもの気怠さを紡いだ唇をキツく塞がれ、生温かい舌の感触に堪らず恍惚としかけたものの、、、突拍子もない事態に赤面となる自身に反して冷ややかな様子を崩さない銀時に対し、神楽は言い知れぬ不安を感じた。

「ぎ、銀…ちゃん、あの……っ」

「…ハァ、、、覚えてねーなら別に良い。んな硬直しなくても俺ァ、お前みてーな気分屋のガキに本気になる程病んじゃいねーよ。悪かったなァ…今のはティッシュにくるんで忘れてくれ…」

踵を返すかの如く告げられた台詞に、神楽は思わず自身の膝頭を掴んだ。

「―――嫌アル」


~side:K~

駄々をこねる子供の呈で、此方に背を向けたまま表情の窺い知れない相手の鍛え抜かれた身体へ腕を回した。暗がりの中で視界に映る幾つもの傷跡をなぞるように舐め、 私もまた欲情を回復させていった。

「…急に恥ずかしくなって…さっきは何でもない風に取り繕っちゃったけどいい加減、我慢の限界ネ!キスだけじゃ全然足りないアル、、、もっと銀ちゃんと深く繫がりたい……!!」

 切ない吐息を洩らしながらの懇願にどう反応したものか、真正面に向きを変えた彼から未だ汗ばむ掌に唇を落とされた私は、振り返った彼の両腕により腋と膝裏を支えられる格好で抱き抱えられ、跳ねる心拍数もそこそこに軽い抵抗を露わにした。

「い、いきなり何するアルか!?これから銀ちゃんを味わい尽くしたかったのに…、」

「だから仕切り直すんだろーが。…今のうちに言っとくけどなァ、この期に及んで冗談だとか抜かしやがったら問答無用で犯し啼かすから覚悟しとけ」

「……………―――ッ/////」

反射的に洩らしかけた抗議の声は、辛辣さを帯びる告白とは裏腹の彼の赤く染まった耳朶を眼下に捉え、掻き消された。


「それ…どうして外さないネ?」

「ん…?あァ、、、」

向かい合わせに抱き竦められ、背後の壁と廻された逞しい腕を支えにしつつ彼の大腿に重心を預けた私は眼下に映し出される箇所を指し示すものの、合点がいきながらも私の首筋へ徐(おもむろ)に赤い痕を刻む愛しい人の濡れそぼった銀髪に指を滑らせ、身悶えた。

「ぁ…」

「よりにもよってこんなオッサンの汚れたバベルの塔なんざ直に見る事ァねーだろ。挿れる時だけ捲れば問題ねーんだから今はこっちに集中してろ、、、」

「ひゃあンッ…!」

先程からやんわりと揉みしだかれていた胸の先端を宥めるようにちゅく…と吸われ、舌先でヒタヒタと擽られる快感に堪らず視界が潤む。同時に絡ませていた自身の両脚をばたつかせ、彼の腰部を覆い隠す邪魔なタオルを相手に悪戦苦闘を試みた。

「オイ…じっとしてろって、、、…ったく、わーったわーった!その代わり見ても気持ち悪いとか言うなよ?…ほら、、、」

愛撫を施していく際の艶めかしさからは一転し、気怠げながらも器用に結び目を解いたタオルを脇に放った彼の性器は見事に屹立していた。そそり立つ立派なモノの大きさと綺麗さにゴクリと生唾を飲み込んだ。

「わぁ…銀ちゃんの、凄いおっきい…!!あっ…やっぱり陰毛も銀色ネ。お前、ホントに地球人アルか?こんなトコまで天人に匹敵するなんて流石ヨ」

「褒めてんのか貶してんのかどっちだコラ。…っと、そろそろ良い頃合いかもな。抜くぞ、、、」

「え…?ぁ、っ ふ……っ、」

いつの間にか、これから彼を迎え入れる場所を解していた複数の指はとろとろになった内部から跡形もなく引き抜かれ、名残惜しげに収縮する襞を抉るように熱く硬いモノが徐々に侵入を果たしてきた。

「ぁあ、…っい…ッ、、、」

「…ッ……!息詰めんな…もうちょっと力抜け……そうだ、、、良く出来たじゃねーか。後は…もう良いからマグロにでもなってろ―――」

「………、、、?」

「…とにかく、大人しく身を委ねてりゃ、良いんだよ―――動くぞ」

紡いだ言葉を皮切りに最奥まで到達した性器を一度極限まで引き抜き、次いで抉るように貫き攻め立ててくる彼の感触と熱に淫らな嬌声が止まらなくなる。

「ァんッ……!!!!―――っひ、あ…ァ…っ……//////」

未知の感覚に囚われたのも束の間、波のように襲い来る強烈な快感から身を捩った私は、本能的に彼の背中へ爪を立て、仄かな傷跡を作った。

「なァ…お前は俺のモンだ、、、そうだろ…?」

咽ぶ程に啼かされ、翻弄されつつも…喘ぐ私の耳元で色情に濡れた吐息と共に愛を口にした彼にありったけの想いをぶつける。

「銀ちゃん、銀ちゃん…だ、いす、きっ……」

「…バーカ、、、俺もだっつの……」

他愛もない睦言に溺れ、互いに熱烈なキスを贈った私達はどちらからともなく絶頂を迎えた―――……


「…信じられないネ。あれだけナカに出して欲しいって言ったのに、、、直前でゴム装着してたなんて……銀ちゃんのバカ!!!」

「ったくよォ…まだ剥れてんのか?…しゃーねーだろ、お前、今のうちから『できちゃった婚』なんつったら俺ァ、お前の親父に間違いなく息の根止められちまうんだからよ、、、避妊無しの処女懐胎は未来の彼氏か旦那の為にとっとけ」

「聞く耳なんか持たないアル、、、

っう…ぐすっ、、、欲しかったのに…銀ちゃんの、赤ちゃん、、、」

「ハァ……

今は無理でも、お前が思春期を脱してもまだ気持ちが変わらねーってんなら……そん時ゃ、俺の全部をお前にぶつけてやるよ―――だからもう泣くな」

肌を覆うシーツを静かに捲り、剥き出しの身体を密着させてきた彼の腕に包まれた私は、泣き濡れながらも安堵した心持ちで細やかな将来の約束を交わした、、、

「二言はないアルな…?絶対、絶対……二人でパパとママになるヨロシ。指切りげんまん、嘘ついたら針千本ノックをお見舞いするからナ、、、コンチクショー…」

「ヘイヘイ」

~end~