<概略>(Amazonより引用)
毎日のオンライン会議、メール・チャットの返信、ToDo処理……
そんな仕事ばかりに追われて疲弊し、「本当に大切なこと」に時間を割けていない――。
そんなビジネスパーソンは少なくないでしょう。
事実、コロナ禍以降、私たちは一層仕事に追われています。
この状況が、質の高い仕事を遠ざけるとともに、知的労働者をバーンアウト(燃え尽き症候群)に追い込んでいるのです。
そのような状況で変えるにはどうすればいいか?
そのためのキーワードこそ、「SLOW」です。
働き方を「SLOW」にアップデートすることで、仕事に心を擦り減らすことなく、偉大な成果を出しながら、人生そのものも充実させることができるのです。
<備忘録>
- 仕事の生産性を推定するために、目に見える活動量をおもな基準とする見方が「疑似生産性(ニセモノの生産性)」。
- メールの未読が溜まると後ろめたさや上司からのプレッシャーを感じ、集中力が必要な「深い」仕事よりも、さくさくと完了できる仕事を選んでしまう。
- 在宅勤務などは疑似生産性の副作用を緩和してくれるが、問題の本質には向き合っていない。
- 持続可能かつ有意義なやり方で知的労働に取り組むための仕事哲学(スローワーキング)
- 1.削減:やるべきことを減らす
- 仕事の大小に関わらず、情報をすり合わせるためのメールのやりとりやMtgなど、本来の作業を進めるために必要な周辺作業、「間接コスト」が必ず発生する。
- テレワークへの移行はまた、共同作業の効率を低下させて、チーム内の意思疎通にかかるコストを増大させた。同じオフィスにいればたった数分で終わる相談が、テレワークでは何倍もの間接コストとなる。
- 間接コストの問題は、与えられた時間のぶんだけ増大すること。ある仕事を引き受けるとそれは発生し、完了するまで消えない。
- 日々の仕事を少数に絞り込むには、仕事を規模別に①ミッション、②プロジェクト、③ゴールの3つに分類し、それぞれに上限を設ける。
- ①ミッション:「仕事で何を達成したいか」という具体的目標。同時進行のミッションの数は2~3個。
- ②プロジェクト:1回のセッションでは終わらないまとまった単位の仕事。1日に取り組むプロジェクトはひとつだけ、それ以上は手をつけない。
- ③ゴール:「今日達成すべきゴール」をひとつのプロジェクトに絞り込む。
- 小さなタスクは、ある程度の量が積み重なるとまるでシロアリのように生産性を食いつぶすため、小さなタスクだとあなどってはいけない。
- 知的労働者の注意力を食いつぶしはじめたのは、個々のタスク自体ではなくタスクについての他者とのやりとり。
- 2.余裕:心地よいペースで働く
- これから5年間に、自分は何を達成したいか?長期的な目標を持つことで、短期的な進展が見られない時期でも、焦らずにいられる余裕を与えてくれる。
- 「最初の見積もりの2倍」という基本方針を持っておけば、自信過剰な直観に流されず、心地よいペースで仕事を完了できる。「これくらいできる」と思ったタスク量から、たとえば一律で4分の1だけ減らす。
- 3.洗練:クオリティにこだわり抜く
- 知的労働の雑多な業務はどれも同じぐらい重要なわけではなく、1つか2つ、本当に重要なコアの活動があるはず。
- クオリティの追求は多くの場合、仕事のペースを落とすことに直結している。「やらないことを決めるのは、やることを決めるのと同じぐらい重要だ」 by スティーブ・ジョブズ
- 大局的なゴールを常に意識することで、何にノーと言うべきか、どうペース配分すべきかがはっきりする。
- 自分のスキルを交渉材料として、スケジュールの主導権を握れるようにする。
- 自分のスキルを磨くには、とにかく量をこなしてみる。また、自分の専門以外のことにも目を向けることも重要。
<考察>
- 「疑似生産性」という考え方を知り、本来、集中すべき仕事以外の簡単なタスクをこなして、やった気になっていなかったか?と考えらせられた。現在、自社でも「抜本的な生産性向上」の大号令がかかっている。しかし、「知的労働者」にとっての「生産性向上」とは何か?阻害要因は何か?という、本質的な議論がないまま、社員個々人に委ねられているように感じていた。私自身も日々、雑多なタスクに追われ、本来やるべき仕事(自社では、「お客様価値に直結する仕事」)に手がつかないこともあった。「間接コスト」が意識出来ておらずいつも時間に追われ、また重要でないタスクにも軽重が上手くつけられず、無駄な工数を使っていたと反省。
- 100年に一度の大変革期にある自業界にとって、全社員が本質的な生産性向上を達成できなければ、本当に生き残れない危機感を持っている。本書で紹介された「1.削減」、「2.余裕」、「3.洗練」の実践的な手段を取り入れて、自身の生産性向上を行い、お客様価値に直結する仕事により多くの時間を費やしていきたい。
=========[引用開始](p29)=========
目に見える活動で生産性を判断する見方は、20世紀後半の主流の仕事観となった。だから僕らは週に40時間、狭いオフィスに集まって働いている(40時間とは本来、工場労働の肉体的負荷を制限するための上限値として定められた数字だ)。 メールに未読が溜まると後ろめたさを感じ、上司が近くにいると「忙しそうにしなければ」というプレッシャーを感じる。だから、集中力を必要とする「深い」仕事よりも、さくさくと完了のチェックをつけられる簡単な仕事ばかりを選ぶようになる。
===========[引用終了]===========
=========[引用開始](p30)=========
疑似生産性(ニセモノの生産性)
仕事の生産性を推定するために、目に見える活動量をおもな基準とする見方。
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=========[引用開始](p33)=========
テクノロジーの恩恵によって、処理しきれないほど大量のタスクが日々のスケジュールに詰め込まれている気がします。それほど大量のタスクをこなしながら、納得のいくクオリティを保つのは不可能です。バーンアウトの一番つらいところはそこなんです。自分にとって大切なことなのに、忙しくてできない、まともにやるだけの余裕がない。情熱と関心と創造性を込めて仕事をしたいのに、やるべきことが多すぎでそれができなくなっているんです。
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=========[引用開始](p39)=========
有意義で価値のある成果は、スローな働き方から生まれてくる。
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=========[引用開始](p45-46)=========
あらゆるスロー運動は現代人にゆとりある持続可能な選択肢を提供するという、ラディカルで効果的な戦略の上に成り立っている。
(中略)
生産性の概念そのものを、もっとスローに捉え直すべきなのだ。
===========[引用終了]===========
=========[引用開始](p47)=========
在宅勤務や週4時間労働はたしかに疑似生産性の副作用を緩和してくれるけれど、問題の本質に向き合っているわけではないからだ。それはたとえば、ファストフード文化の拡張に対して、「マクドナルドはもっと栄養価の高いフードを売れ」と主張するのに似ている。健康への悪影響をいくらか減らすのには役立つかもしれないが、食事の時間を節約させようとする文化そのものを問い直すことにはならない。
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=========[引用開始](p48)=========
知的労働の一般的定義
人の認知的活動を通じて、知識が市場価値のある成果物に変換されるような経済活動。
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=========[引用開始](p51-52)=========
スローワーキング
持続可能かつ有意義なやり方で知的労働に取り組むための仕事哲学。以下の3つの原則に基づく。
1.削減 ── やるべきことを減らす
2.余裕 ── 心地よいペースで働く
3.洗練 ── クオリティにこだわり抜く
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=========[引用開始](p64)=========
第1原則:削減 ── やるべきことを減らす
やるべきことを大幅に減らし、すべて終えてもたっぷり時間があるくらいにしておこう。少数の重要な仕事に力を注ぎ、大きく前進しよう。
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=========[引用開始](p67)=========
知的労働者が何か仕事を引き受けるときには、それが軽いタスクであれ大きなプロジェクトであれ、かならず「間接コスト」がかかってくる。間接コストとは、本来の作業を進めるために必要な周辺作業のことだ。
たとえば、情報をすり合わせるためのメールのやりとり。同じ仕事に関わっている人たちとのミーティング。こうした間接コストは、新しい仕事をひとつ引き受けるたびに発生する。
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=========[引用開始](p69)=========
リモートへの移行はまた、共同作業の効率を低下させて、チーム内の意思疎通にかかるコストを増大させた。 たとえばプロジェクトについてちょっと相談したいことがあるとき、同じオフィス内で働いているなら、暇そうなタイミングを見計らって5分ほど話をすればいい。たいていの疑問はそれで解決する。
(中略)
間接コストが一定のラインを超えたせいで、労働時間はどんどん増えるのに、いくら働いても仕事が進まないという破滅的状況がやってきた。
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=========[引用開始](p71)=========
間接コストの注意すべき特徴は、与えられた時間のぶんだけ増大する傾向があるということだ。ある仕事を引き受けるとそれは発生し、完了するまで消えない。その仕事を抱えているあいだずっと、打ち合わせやメール、脳内のスペース占領といった形で、継続的なコストが税金のようにかかってくる。
===========[引用終了]===========
=========[引用開始](p71)=========
一度にひとつのレポートだけにコミットし、それが完成するまでほかの案件をいっさい引き受けなければ、1日につき1件のレポートを書き上げられる(8時間労働として計算)。一方、4つのレポートを同時並行で引き受けた場合、4つのタスクを合わせた間接コストは1日につき4時間だ。つまり1日の半分を実作業ではない管理作業に費やすことになり、レポート1件を完成させるまでの時間は実質的に2倍になる。
引き受ける仕事を減らしたほうが、アウトプットは明らかに増えるのだ。
===========[引用終了]===========
=========[引用開始](p75)=========
余裕があるうちは仕事を増やす、というスタンスで働いていたら、仕事の負荷はつねに危険域をさまよいつづけることになる。
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=========[引用開始](p82)=========
日々の仕事を少数に絞り込むシステムを用意する必要がある。
(中略)
仕事を規模別に<ミッション><プロジェクト><ゴール>の3つに分類し、それぞれに上限を設けるやり方だ。
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=========[引用開始](p82-83)=========
「ミッション」という言葉はさまざまに使われるが、ここでは日々の仕事に役立つ実用的な定義に限定したい。「仕事で何を達成したいか」という具体的目標を、ミッションと呼ぶことにしよう。
(中略)
現実的には、同時進行のミッションの数は2~3個であれば無理がなく、かつきわめてミニマルだといえるだろう。
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=========[引用開始](p85)=========
ミッションを遂行するためには、「プロジェクト」を立ち上げる必要がある。
ここでいうプロジェクトとは、1回のセッションでは終わらないような、まとまった単位の仕事のことだ。
===========[引用終了]===========
=========[引用開始](p89)=========
今はまず、自分のスケジュールを明確に把握し、コントロールすることを覚えよう。そして無理のない仕事量をつねに保てるようになろう。
===========[引用終了]===========
=========[引用開始](p89)=========
1日に取り組むプロジェクトはひとつだけ、それ以上は手をつけない。
(中略)
それは必要に応じてこなしつつ、「今日達成すべきゴール」をひとつのプロジェクトに絞り込むのだ。
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=========[引用開始](p97)=========
小さなタスクは、ある程度の量が積み重なると、まるでシロアリのように生産性を食いつぶす。ほんのちっぽけなタスクが、大きな仕事の土台をすっかり揺るがしてしまうのだ。だから小さなタスクをあなどってはいけない。全力で手なずける必要がある。
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=========[引用開始](p98)=========
多くの場合、脳のリソースを奪うのは作業そのものではなく、タスクを記憶し、「やらなくては」と気にかけ、忙しいスケジュールのなかで時間を捻出するなどの、間接的な認知的負荷だ。
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=========[引用開始](p102-103)=========
ところが90年代以降、知的労働者の注意力を食いつぶしはじめたのは、個々のタスク自体ではなくタスクについての他者とのやりとりだった。
パソコンが登場し、メールなどの電子コミュニケーションツールが導入されたせいで、職場のコミュニケーションは変貌し、非同期のメッセージが際限なく乱れ飛ぶようになった。
(中略)
コミュニケーションのコストを削減するためのシンプルな解決策は、非同期のやりとりをリアルタイムの会話に置き換えることだ。
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=========[引用開始](p108)=========
新しいプロジェクトを引き受けるときは、その仕事が日々どれだけの質問や依頼や雑多なタスクを発生させるかを意識しよう。付随するタスクが少ないプロジェクトを選べば、負担を大幅に削減できる。
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=========[引用開始](p123-124)=========
プル方式のワークフローを個人で再現するための最初のステップは、現在抱えている仕事を2種類のリストに分けることだ。「保留ボックス」と「実行リスト」という2つのリストを作成し、すべてのプロジェクトをいずれかに振り分ける。
(中略)
一方、実行リストに入れるプロジェクトは、最大でも3つに絞り込もう。
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=========[引用開始](p137)=========
第2原則:余裕――心地よいペースで働く
重要な仕事を急いではいけない。自然で無理のないペースを心がけよう。遊びと変化を取り入れて、最高の成果につながる環境を作りだそう。
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=========[引用開始](p145)=========
一定の強度で休みなく働くのは人工的で、持続性のない働き方だ。その場では偽の満足感を与えてくれるかもしれないが、長期的には労働者を人間らしさから疎外し、苦しみを引き起こす、
純粋に経済的な観点からいっても、そのような働き方はむしろ足かせになる可能性が高い。もっと自然で、遅く、変化に富んだ仕事のペースこそが、長期的には真の生産性を育んでくれるのだ。
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=========[引用開始](p151)=========
これから5年間に、あなたは何を達成したいだろうか?
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=========[引用開始](p153-154)=========
心地よいペースに落ちつくための目安は、最初に「これくらいかかる」と感じた期間の、ちょうど2倍の期間で見積もることだ。
(中略)
「最初の見積もりの2倍」という基本方針を持っておけば、自信過剰な直観に流されず、心地よいペースで仕事を完了できる。
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=========[引用開始](p156)=========
「これくらいできる」と思ったタスク量から、たとえば一律で4分の1だけ減らすようにすれば、そのバイアスに対抗できる。
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=========[引用開始](p170)=========
月に1~2回、平日に休みをとるだけでも同様の効果は得られる。「小さな季節」を作るのだ。
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=========[引用開始](p185)=========
問題は、自宅があまりになじみ深い場所だという点にある。生活感あふれる日常の風景を目にすると、脳がうまく仕事モードになってくれないのだ。
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=========[引用開始](p200)=========
第3原則:洗練――クオリティにこだわり抜く
仕事の品質を徹底的に追求しよう。短期的にはチャンスを逃すことになったとしても、その成果は長期的に仕事の自由度を大きく広げてくれる。
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=========[引用開始](p202)=========
知的労働の雑多な業務はどれも同じぐらい重要なわけではない。
よく観察すれば、1つか2つ、本当に重要なコアの活動が見えてくるはずだ。
(中略)
専門分野ですぐれた業績を上げていなければ、いくら献身的に日々の雑用をこなしたところで報われない。
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=========[引用開始](p203)=========
クオリティの追求は多くの場合、仕事のペースを落とすことに直結している。
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=========[引用開始](p204)=========
「やらないことを決めるのは、やることを決めるのと同じぐらい重要だ」とジョブズは言う。
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=========[引用開始](p205)=========
「大局的なゴールをつねに意識しているので、何にノーと言うべきか、どうペース配分すべきかがはっきりしました」と彼女は語る。
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=========[引用開始](p210)=========
市場はけっして、あなたの生活のペースを考慮してくれないという教訓だ。
スケジュールの主導権を握りたいなら、その代わりに何かを差し出す必要がある。多くの場合、交渉材料になるのは自分のスキルだ。
(中略)
自分の分野でコアとなるスキルを地道に磨き、高い付加価値を提供できるようになった。
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=========[引用開始](p210)=========
スキルを磨いた報酬は、必ずしも年収アップや昇進だけではない。忙しい現代社会では忘れられがちだが、クオリティを上げることで得られる果実は、よりスローで持続可能なライフスタイルであってもいいはずなのだ。
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=========[引用開始](p212)=========
そんなとき何をすべきかというと、とにかく量をこなす。締め切りを設定して、毎週あるいは毎月ひとつのものを完成させる。理想と現実のギャップを埋めるには、実際に手を動かして仕事をするしかないんです。量をこなすうちに、だんだん自分のめざすものに近づいてくるはずです。
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=========[引用開始](p218)=========
自分の専門分野を知るのはもちろん大切だが、ときにはほかの分野のすばらしさにも目を向けてみよう。
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=========[引用開始](p240)=========
重要なプロジェクトを追求したいからといって、軽率に今の仕事をやめないほうがいい。まずは仕事を続けながら次の2つの条件が満たされるかどうかを確認しよう。
ひとつは、その仕事にお金を払いたいと思う人たちがいること。もうひとつは、その成果に再現性があることだ。
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【参考資料】
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(最終閲覧日:2025年3月30日)