現在、“モーターショー”が開催されている…デトロイト市
自動車の街で知られる米ミシガン州デトロイト市は昨年…、米連邦破産法9章に基づく更生手続きの適用を申請しました
負債総額は180億ドル以上とみられ、米地方自治体の財政破綻としては過去最大規模となります
デトロイト市は、ゼネラル・モーターズが本社を構えるなど、米自動車産業の中心地として知られていますが、産業の規模縮小や治安悪化に伴って居住者が流出
ピークの1950年代には180万人だった人口が、現在では約70万人にまで減少
人口流出とともに税収も減り、同市の財政は悪化の一途・・・昨年(2013年)3月に財政非常事態を宣言し、任命された緊急財務管理者が破綻回避に向けて債権者と協議を重ねてきましたが、結局…資金繰りに行き詰まり財政破綻となりました。
自治体が財政破綻すると、市民生活はどうなるのでしょうか
2006年に財政再建団体になった北海道夕張市のケースを見てみました。
<自治体の影響>
・市の第三セクターは全て破産処理。
・市直営の観光施設は、指定管理団体や民間企業に売却、譲渡。
・夕張映画祭など、市が独自で実施する施策はすべて中止。
・道路、下水道などの都市基盤整備は、メンテナンスと復旧整備のみ。
・自治体職員の給与は平均30%カット。
・職員数も徹底削減、新規採用凍結や早期退職勧告により破綻前270人いた職員は、現在約120人と半分以下に。
・市議会議員も18人⇒9人に半減、議員報酬も31.1万円⇒18万円に削減。
<市民への影響>
・市民税が3000円⇒3500円に、固定資産税が1.4%⇒1.45%に、軽自動車税が現行税率から1.5倍に増額、など各種税金は全国最高水準に上昇。
・下水道使用料が10ml㍑あたり1,470円⇒2,440円に値上げ、ごみ処理は一律有料化等、各種手数料も値上げ。
・図書館や美術館、集会場、公衆トイレなど公共施設の多くが休廃止。
存続させる施設については使用料が5割増しに。
・市内に9校あった小・中学校は、小学校1、中学校1の2校に統廃合。
(参考)夕張市ウィキペディア
…というわけで、自治体が財政破綻すると一般的には以下の変化が起こります。
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■自治体が徴収する税金や、使用料、各種手数料はもれなく「全国最高の水準」に増額。
■自治体独自の行政サービスやイベントは無くなります。
■自治体が提供する最低限のサービスは従来通り受けられますが、新たな都市整備基盤は行なわれません。
■必要最低限“以外”の公共施設は休廃止、もしくは統廃合されます。
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ちなみに、財政破綻した自治体の住民は、「国内トップクラスの税金や使用料」を払い、「必要最小限の行政サービス」だけを受けるようになる、ということです。
「これでは企業や住民達が逃げ出してしまうんじゃないか」って…その通り。
2010年国勢調査によると、夕張市の2005年から2010年にかけての人口増加率は15.97%減であり、市としては全国最速で人口が減少しました。
だからといって、夕張市に黒字化の見込みが全く無いわけではありません。
上述した財政再建策を進めることで、夕張市は赤字を確実に減らしています。
夕張市のホームページにある「借金時計」には、今現在の夕張市の借金額および返済額がリアルタイムで表示されていますので、下のリンクからご覧ください。
夕張市の借金時計…【夕張市公式ホームページ】
http://www.city.yubari.lg.jp/contents/municipal/zaisei/s_tokei/index.html
職員は、財政破綻の状態から抜け出すことを目標に再生計画を立て、今も市民のために各種サービスを提供しているのです。
同市の財政再生計画の終了年は、西暦2030年3月・・・、まだ先の話ですが「夕張市が赤字返済に成功した」というニュースが流れることを楽しみに待ちたいと思います。
あっ♪…、米デトロイト市も財政再建、頑張ってもらいたいものです