1月31日の聴き耳club Bで扱ったリスニング題材は以下の通りです。
オリンピックメダリストが五輪憲章第50条の撤廃を要求
五輪憲章(Olympic Charter)の第50条(Rule 50)は、オリンピック競技会場や選手村で政治的な宣伝活動を禁じていますが、最近は信念などを公に表明するアスリートが増えている中、この条項を撤廃すべきという声が出ています。
1968年のメキシコオリンピック男子陸上200メートルの表彰台で、米国の金メダリストと銅メダリストが、米国の黒人差別に抗議して、黒い手袋をはめた拳を突き上げたシーンは非常に有名です。(https://en.wikipedia.org/wiki/1968_Olympics_Black_Power_salute)
In a cry for freedom and racial justice, they each raised an arm in the air, both of them with a fist clenched and each of them wearing a black glove.
この行為により、2人は大会から追放されました。
それから半世紀以上経って、この2人の内の1人、銅メダリストのJohn Carlos氏が、国際オリンピック委員会(IOC)とパラリンピック委員会に書簡を送り、第50条の撤廃を求めました。「アスリートはもう黙っていない、我々は今岐路に立っている」、とその中で述べています。
Athletes will no longer be silenced. We are now at a crossroads.
(crossroadsは単複同形)
これに対しIOCは消極的で、五輪憲章にうたわれている理念の支持を選手が品位ある方法で表明できるように彼らと話し合う、としています。
They will consult with athletes, so they can express support for the principles enshrined in the Olympic Charter in a dignified way.
要するに撤廃しないということです。
しかし、サッカーのFIFAやアメフトのNFLなど他の競技団体は、この問題についてはもっと態度を軟化させていますし、昨今では盛んなBlack Lives Matter運動もあり、東京オリンピックに向け、この問題についてIOCへの圧力が強まると見られています。
The pressure on the IOC is expected to intensify in the run-up to the Tokyo Olympics.