ベルリンフィル 日本公演 | 遊本館児童文学サークル日記 兼 管理人のライブ鑑賞報告

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静岡市用宗にある児童書専門の図書館「遊本館」を活動拠点としている児童文学の創作グループです。私たちといっしょに子どもの本の創作をしませんか。子どもの読書指導活動も始めました。

私は、スービン・メータが好きです。

 

理路整然としたリズム感のよい演奏が好きです。そして、なにより、音楽に対して真面目な感じが好きです。自己顕示欲を感じる指揮者は好きではありません。

 

もう、昨年末のことになってしまいましたが、

 

ズービン・メータ率いるベルリンフィルハーモニーの日本公演、聞きに行きました。

 

メータもお年だし、いつ何があるかわかりませんから、(自分もいつあの世へ行くかわからない。それは、誰もみな同じ)チケット代と交通費、貯金を底の底まではたいてS席のチケット買いました。

 

まずは11月13日(水)の、愛知県芸術劇場のブルックナーの交響曲第8番。

 

ブルックナーなんて、名前もほとんど知りませんでしたが、ピアノの先生に「ブルックナーの8番は素晴らしいですよ」と言われて、43,000円も出してS席のチケット買ったんだからと、ブル8のオーケストラスコア買ってYOUTUBEとかAmazonPRIME (ここでケチるのが我ながらせこい)でブル8聞いて予習しました。

 

正直・・・何じゃ、この曲、わからん、と思いました。スコアがなかったら絶対何がなんだか絶対わからなかったと思います。

 

でも、期待と不安で愛知県芸術劇場へ行って、

「予習していって大正解!!」

と思いました。

 

本当に、本当に、素晴らしい、としかいいようがない演奏でした。

 

予習のおかげで、テーマの繰り返しもわかったし、3楽章が長いのもわかっていたし・・・

 

そんなことは些末なことで、もうもう、第1楽章の出だしの音から全身幸せでした。

 

演奏が終わるのが残念で残念で。

 

財布の底をはたいた甲斐がありました、どころではない、破産しても後悔はしなかったと思います。そのくらい素晴らしい演奏だった・・・多分、一生これ以上のコンサートは無いと思います。

メータの演奏を生で聴くのは、二回目。前回はイスラエルフィルと来日したとき、シェレラザードとショスタコーヴィチの5番を聞きました。これも素晴らしかった。

 

でもベルリンフィルは格が違う、というか、さすが世界最高峰といわれるオーケストラでした。

 

愛知県芸術劇場の公演が、今回のツアーの最初の演奏だったようですが、レビューなどを読むとこの時が一番良かったようです。

 

演奏も素晴らしかったけれど、楽団とお客さんの心のつながりみたいなのまで生まれた演奏会でした。

3楽章の終わり頃、一瞬オケの音が完全に無くなる箇所があるのですが、そこで、見事なタイミングで、「ハクショーン」とくしゃみをした人が・・・

オケは何事も無かったような風に演奏を続けて行きましたが、3楽章と4楽章の間、観客も楽団員もみんなつられてゴボゴボ咳き込み、指揮者のメータまで「ゴッホン」。

楽団員は楽しそうに笑っていました。

 

普通なら、イラッとするはずのくしゃみまで、楽しいエピソードに変わってしまった演奏会でした。

 

 

でも、メータがすっかり小さくなってしまって、杖をついて椅子に座って指揮をしていたのは衝撃でした。病気をしていたとは聞いていましたが、ちょっと前のコンサート(テレビで見ました)

では、小澤征爾さんを支えていたメータが、今回は楽団員に支えられている姿を見て心が痛みました。

 

アンコール演奏はありませんでしたが、そのかわりに、メータ自らが観客のお見送りにステージに出て手を振ってくれました。

 

 

今年、予定通りなら、ミラノスカラ座の日本公演の指揮者として、メータが再来日します。

椿姫はとても見に行かれそうもありませんが、メータが元気を取りもどして来日してくれることを祈ります。