特養には家具がないところが多い。

病院にはたいてい床頭台と呼ばれる引き出しやロッカーが付いた台がある。

しかし、特養にはベッドがあるだけだ。


特養は家なので、使い慣れた家具などを持って来ていただいて、

慣れ親しんだ部屋を再現していただけたらと考えている。


認知症の方にとっても、その方が落ち着くだろう。

見知らぬ場所で、見知らぬ人に囲まれて不安で仕方ないと思う。

入居して、まず挙げる目標は施設に慣れることだ。

何十年と使って、使い込んだ家具があったら落ち着くだろう。


ところが、こちらの思いとは裏腹に、

ほとんどの方は、ホームセンターなどで買ったプラスチックの家具が届く。


理学療法士的にはタンスを手すりがわりに使うことも多いので、

がっかりしてしまう。


入居者が超高齢なので、

家族も高齢者が多く、入居の用意も大変だと思う。

ホームセンターで買って直接施設に送ってもらうのが楽なのだろう。

それも仕方ないと思ってしまう。


代わりに、着慣れた服や家族写真など持って来ていただき、

その方らしい部屋づくりが出来ればいいかも知れない。


10年前になるが婚礼家具だろうか、

大きなタンスを二棹持って来られた強者がおられた。

さすがに大きいと思ったがしっかり部屋に収まっている。


もうこんな大物には出会えないのだろうか。