先日、ある方が退所された。
急な退所だった。
特養は最後まで生活できる場所なので、
普通、退所と言えば理由は、
死亡退所か入院してそこでの死亡退所である。
その方は介護スタッフとトラブルになり、
なんとかユニットを変えて対応しようと検討していた矢先、
今度は他の入居者とトラブルを起こしてしまった。
私もその方とスタッフとの関係修復を出来ないかと考えていたが、
他の入居者に手を出してしまっては仕方がない。
職人気質で、少し頑固な面がある昭和のおじいさんって感じの方だった。
半年くらいの付き合いだが、
戦争の話や仕事の話、昔の生活などの話をよく聞かせてくださった。
一緒に桜を見に行く約束をした翌日に心不全で救急入院されたけど、
2週間くらいで帰ってきて良かったと思っていた。
まさか強制退所されるとは思っても見なかった。
退所の前日、最後のリハビリに伺った。
本人は最後まで非を認めなかったし、
私はそれを話題にしなかった。
いつものように雑談をしながらリハビリをし、
最後の挨拶をしてくださったので、
私はこれまでのお礼を伝えた。
「私に身体を任せてくださってありがとうございました。いろんな話をしてくださってありがとうございました。お元気で。」
起こしてしまったことは許されないけど、
あなたはいつまでも私の大切な入居者だから。