素人さんほど言い訳や口答えをしますね。
ある現場で。
その作品(オペラ)は、親しみやすいメロディで溢れていて、かなりの人気作品。ところが、実際に歌ってみるとなかなか取りづらい音がある。何回やっても苦戦する箇所がある。
どうしたもんかと思ったら「素人さんに簡単に歌わせないように作曲家がわざと取りづらい音にしてある箇所があるんだよ」と、ある歌い手さんが教えてくれました。
そうやって周りを見渡してみると、それぞれの役に鬼門がある。教えてくれた方もオケ合わせの直前まで(もちろん私も)音の確認をしておりました。
そうして始まったオケ合わせ。
ある役の歌い手さんも、どうやら取りづらい音があったようで、間違った音で歌っていました。
そしたら、
「そこの音、一生、直らないね?」とマエストロが一言。
一生直らないなんて、きつい言い方だなぁと思いながら聞いていました。でも、そういう言われ方をするということは、稽古中に何度も指摘されたんでしょう。で、オケ合わせにもなっても(残るはゲネプロ、そして本番)直ってないということはマエストロも我慢の限界が来たのかしら…なんて思ってたら
「まだ直りませんかね?」と、その歌い手。
私、←こういう顔になってたと思う。
ずいぶん横柄な…
マエストロが指摘してるんですよ。
マエストロが音が違うと言ってるんですから、違うものは違うんです。
楽譜開いて歌ってるくせに、違った音で歌ってるのはあなたよ?何を口答えしてるの???
しかも他人事みたいに。
そこは「すみません、直してきます」の一択でしょ。
私たちはどんなに足掻いたって、自分の歌を生で聞くことはできないのです。お客さんの前で聞かせる前に間違いを指摘してくださってるのに、ムッとするのは方向違い。
なんて思いながらやり取りを聞いておりました。
あとで別なマトモな歌い手と「あの口答えは無いよねぇ」と話になりました。
そしたら「プロの歌い手としてやっていこうと思ってないんでしょう?」と、その歌い手さん。
そのマエストロにも、こういうことありましたねと話したら、そんなこと言われたっけ?と忘れてるし。
ああ、なるほど。
つまり、その人、
歌い手のカテゴリーから外されてた
そういうことですよね。
素人さんでも似たようなことはあります。
こちらが指摘してるのに「これはこうやって歌ってたので」
そんな風に分析できるほど上手いの???
だったら最初からまともに歌いなさいよ。
と、こちらは思うわけです。
どうしたら良いか分からないならば歌い方を教わればいいのに、それはせずに自分を正当化。
ご自分がどんなに酷い声で歌っているか分からないんでしょう。
だから指導者がいるのに。
こちらは、まともに歌ってないから指摘してるわけです。指導してる人に口答えできるほど上手いと思っているのか…
言い訳してるうちは上手くはなりませんね。いい舞台にしたいと思ってないのでしょう。
オペラは一つのチームになって作り上げていくものです。お金をいただく公演で、いいものを作ろうという意識の無い方が混じると本当に雰囲気が悪くなると常々思います。