『イタリアでの蝶々さん①』の続きです。

さて、その蝶々夫人。
ワインが美味しいことで有名な町の馬蹄型の小さなホールでの公演でした

ちょっと特殊(?)な形の劇場で、面白いことに舞台奥正面に扉が有り、外から舞台上に入ることができるのです。

舞台両側に上手・下手ありますが、この場合は何て呼ぶのでしょうね?

そして不便なことに、上手と下手を結ぶ通路が舞台裏に無い!

上手から下手に行くには上手脇から客席後ろの外を通り、下手に向かいます。

更に、その舞台正面の扉に向かうには、一旦ホールの外に出て、ぐるっと回らないと行けないという…。雨が降ったら衣装ずぶ濡れ!?

そういう舞台ですから、演出上、色々制約があると思います。

さて、蝶々さんの登場の場面です。坂を登って、ピンカートンの待つ家で結婚式です。

その演出では、外から舞台奥正面を通って蝶々さんが舞台上に出てきます

私は上手袖にいました。ふと見ると、蝶々さんが使う小道具と一緒に
『日傘』が置いてあります。

登場の時に蝶々さんは傘をさして歩いてくるのです。もうすぐ蝶々さんの登場というのに、上手袖にあるってことは…。

しかも、上手から蝶々さんのいる所までは遠いのです。外を回らないといけませんから。

「傘、蝶々さんに持って行って!」と上手スタンバイの裏方さんに言いましたら

「落ち着け、落ち着け」と余裕の表情。

あ、イタリア人に『落ち着け』って言われるほど屈辱的なことはないです(私の個人的感想ね)

「いいか、次の幕になったら俺が持って行くからな」なんて悠長なことを言ってます。

次の幕なんて、結婚式は終わってるよ!今使わずしていつ使うのよ!

「今、必要だよ」と

必死で訴えても聞く耳無し!解っていても私が持って行くわけにはいきません。各々の責任がありますから私は手は出せないのです。私が舞台監督助手で雇われていたら、もちろんバリバリ働きましたけどね。

本番がこんな具合でしたから、稽古では色々あったはずなんですが…。
あまりよく覚えていません。

ただ、その日の稽古が終わると、飲まなきゃやってられない!という状態になったのだけは、よく覚えています。

旦那ちゃんをはじめとする、オペラに関わる裏方さんたちが稽古が終わると飲みに行く、という気持ちが痛いほど良く解った!という経験でした
(^_^;)

蝶々さんの傘はどうなったのでしょう?

続きはまた今度