旦那ちゃん演出のオペラを見てきました。
ハーモニーホール座間の小ホールで行われた『椿姫 La Traviata』です

小ホールとは思えない、そしてお金のかかっていない公演とは思えない、素晴らしい出来でした。

照明の何と素晴らしかったことか!終幕のヴィオレッタを照らす明かりは本当に美しかったです。衣装は自前と聞きましたが、統一感があるように見えたのは、照明の力だと言ってました。

メイクさんもプロが入っていましたし、こしらえと明かりがいいと舞台が豪華に見えます。
ちなみに照明は(株)ASG、メイクはイマージュさんでした。

幕が上がって最初に気がついたのは、指揮の田邊くんの上達ぶり!2年前の『ラ・ボエーム』からすると、かなり進化したんじゃないでしょうか。

そして、ピアノのなぎさちゃん!オーケストラかと聞き紛うような見事な演奏でした。それより何より、アタシはピアノの心配しちゃったわよ!!なぎさちゃんの豪快な弾きっぷりに、ピアノが壊れるんじゃないかと…!なんて男らしい演奏!惚れたわ!ピアノって、こんな大きな音が出るんだ、と今さらながらに気づいた次第です…。もちろん力強いだけでなく繊細な演奏も素敵でした。

歌い手さんも、それぞれ力を出し切って素晴らしい演奏でした。

『椿姫』って、どの幕を切り取っても、それぞれ美しい音楽なのですが、今回、新たに気がついたのは2幕1場。アルフレードの父親、ジェルモンが登場する幕です。前後の華やかなシーンに挟まれて、地味な感じのする幕なんですが、ここは、それぞれの愛が語られるシーンなんですね。そのどれもが気持ちが分かるだけに涙を誘う場面です。

それぞれの愛…。ジェルモンの家族を思う愛、ヴィオレッタの全てを包み込む愛、アルフレードのヴィオレッタに対する愛…。
若かった頃はこういう見方はできなかったんですけどね。

それにしても、ジェルモンに説得されて身を引くヴィオレッタの決断の早いこと。オペラだから、と言ってしまえばそれまでなんですが、これには宗教観も影響していると思うのです。

ヴィオレッタとアルフレードの関係を『神様が認めた関係ではない』とジェルモンが説得するんです。

それまで強く抵抗していたヴィオレッタですが、La Traviata(道を踏み外した女)であるからこそ、信心深くなるのでしょうね。

オペラは初めて、という方には一番にオススメしたい作品です。