劇団民芸稽古場公演の『坂の上の家』を見てきました。1982年7月23日に長崎で起きた大洪水で両親を亡くした兄弟妹のその後のお話です。

稽古場公演ということで若手の役者さんがほとんどでしたが、なかなか良かったですよ。

長崎が舞台なので、長崎弁でのお芝居なんですが…。
実際、よく習得されたと思います。やはりイントネーションは関東のものなので、私が慣れるまではお芝居の世界の中に入れなかったです。だって気になるんだもん。
言葉は長崎なのに音程は関東…。

でもね、今日、お芝居の中で電話台が倒れるというハプニングがあったのですが、その時に若い役者さん二人が九州弁のアドリブで乗り切った時は、もしかして九州の人かしら?と思ったほどです。
終わって、その役者さんとお話したら、普段から役者同士で長崎の言葉で会話をするようにしていた、とのこと。とっさに言葉が出たんですね。素晴らしいです。

お芝居だと、ハプニングにはアドリブで対処できますが、オペラだとそうもいきません。音楽は流れていきますからね。

長崎の洪水は9歳の時でしたが、私もよく覚えています。佐世保にいました。
一日中激しい雨と雷で、昼間というのに夜のように空は暗く、雷で紫色に空が染まるのです。

紫色の空…後にも先にも、そういう空は見たことがありません。本当に恐ろしい日でした。

『坂の上の家』
とても素敵な芝居でした。8歳の息子も4歳の娘も、充分楽しんだ様子でした。面白い場面や、楽しいセリフ運びのところでは声をあげて笑ってましたよ。明日も明後日も見に行きたい!なんて言っています。相当、面白かったんですね。

終わった後、お芝居の中に出てきた『原爆症』について息子には話すこともできましたし、少しずつですが戦争のこと、原子爆弾のこと、などを話すきっかけになりました。

今回、出演されてた小嶋佳代子さんからの案内で見に行ったのですが、彼女の演技も心の機微が上手く表現されていて、とても好感が持てました。とても初舞台とは思えない、立派なお姿でした。

音楽も演劇も『生』で見るのはいいですね。公演はまだあるみたいですので、お出掛けになってみてください。京王線・若葉台駅から少し歩いたところにあります。