2000年に厚生労働省がPRKを認可して、屈折矯正手術は晴れて、LASIKやPRKは眼科医療の一翼として認められました。
それまでは、認可されていなかったため、美容外科で行われている手術でした。そのため、眼科医でない人が、屈折矯正を考えずに手術をしていたため、老眼の人や、緑内障の人、はたまた、角膜が薄い人、円錐角膜の疑いがある人まで、手術を受けていました。眼科医が中心となって、この手術をやるべきだという機運が高まり、また、厚生労働省の認可も重なり、屈折矯正で仕事をしてきた私も、この手術をしようと決心しました。屈折矯正手術に造詣の深い京都府立医科大学の木下教授や稗田先生の指導を受けながら屈折矯正手術に邁進してまいりました。適応のある方を丁寧なカウンセリング、検査も適応検査、カウンセリング、術前検査と3回の検査をすることにより、きちんとした度数設定をして、皆さん満足していただきました。手術も順調に増え、日本全国から、患者が集まり、手術日には1日10人20眼の手術をしていましたが、銀座眼科の集団感染(非眼科医による不衛生な環境)、NHK7時のニュースの大誤報(ネットでのアンケートによるドライアイを不具合とする報道:NHKは後で、眼科医会に謝りましたが後の祭り)で、手術希望者は激減しました。さらに、追い打ちをかけたのが、かつてLASIKをやっていた大御所がICL普及のため、LASIKは良くないというネガティブキャンペーン、東日本大震災などによる経済的な落ち込みのため自由診療であるLASIK,PRKは見る影もないほど減少しました。それでも、細々と屈折矯正手術を続けていましたが、戦争などのため、ヘリウムネオンガスやヘリウムガスが以前の値段の100倍ぐらいの値段に上昇、ガスが入らない時期もありました。LASIK施設も激減したため、メーカーも新しい機器の開発をしなくなり、新規受注をやめたり、保守修理もしなくなってきました。
現在、屈折矯正手術を行っている医師は、2000年から屈折矯正手術をやってきた人ばかりで、後を継ぐはずの若い医師がいません。それは、大学で屈折矯正手術をやるところがほとんどなくなり、屈折矯正手術を見たことがない眼科医ばかりになりました。手術のことをよく理解している医師は、屈折矯正手術の良さは十分理解しています。ところが、現在は、屈折矯正手術はICLだけという世の中になりました。近視抑制のかんがえかたでは、ICLは周辺が遠視になるので、より眼軸長が伸びます。LASIK,PRK,オルソケラトロジー、近視抑制眼鏡、近視抑制コンタクトレンズいずれも、周辺が近視になるため、近視抑制のメカニズムに合致しています。それを理解せずぬ、ICLを入れるのは、どうかなと思っています。
そのことも踏まえ、私としては患者さんの再手術の要望や、多焦点眼内レンズ後の度数のずれの補正としてタッチアップに必要という思いで屈折矯正手術が大幅な赤字でも、意地でも続けるという体制をとってきました。しかしながら、現在の機器の保守が終了し、年齢も71歳になり、流石に新たな機器の導入は経済的にも難しいため、今年いっぱいで、屈折矯正手術を終了しようと思うにいたったのです。長い間、暖かく見守っていただきました皆様に感謝するとともに、あと、半年LASIK,PRK手術を頑張る所存です。今後とも、よろしくお願い申し上げます。