多焦点眼内レンズは40年ぐらい前からありました。しかし、そのころの眼内レンズは単焦点も含めて自費で、眼軸長もAモードで測定し、乱視もなく、2焦点で、切開創もまだ、大きく度数ずれや、乱視によって、裸眼での見え方は十分ではありませんでした。
でも、遠用眼鏡を処方すれば、遠くも近くもみえたので、同じ自費であれば、多焦点が良いという人がいらっしゃいました。最初の多焦点は3M社の3ピース回折型多焦点IOL「815E」とAMO社のArrayでした。Arrayがシリコン(SA-40N)になり、小切開で入れられるようになりましたが、1992年4月から眼内レンズが保険になり、多焦点を入れる人はほとんどいなくなりました。
多焦点が復活したのは、2008年4月からの先進医療に多焦点が選ばれたことです。自費であることは一緒ですが、民間の保険で、先進医療特約に入っている人は、無償で、多焦点眼内レンズが挿入できたものですから、かなりの数の多焦点が挿入されました。その頃は、眼軸長測定も光線追跡法になり乱視があり、2焦点、3焦点、屈折型、回折型といろいろ出てきて、裸眼視力も遠方、近方ともに1.0が当たり前になりました。もし、度数が合わなければ、LASIKやPRKで修正できますので、1年間に40万眼以上の多焦点眼内レンズ挿入が、全国で行われました。本来であれば、保険収載になりそうなものですが、そうなると、病的な目以外は100%多焦点になるため、6期12年、2020年3月で先進医療は終了となり、白内障手術は保険、多焦点眼内レンズは選定医療の自費になり、多焦点は急激に減少しました。日本人の、水と安全と医療はタダという感覚が今なお残ってると思います。
現在、多焦点は3焦点、5焦点、焦点深度拡張型、オーダーメイドとありますが、どれも遠くも近くも見えてほとんど差はありません。その人の生活習慣、何が大切なのかによって眼内レンズの種類を決めます。度数が合わない場合はLASIKやPRKにてタッチアップをして度数を合わせます。