呼気中の水素濃度は腸内で発生する水素量が多ければ,多くなりますし、少なければ、少ないですが、体の中にあるヒドロキシラジカルの量により変化します。ヒドロキシラジカルが多いと、発生水素量が多くても、消費され水素量は減少します。水素はヒドロキシラジカルとだけ、結合し水となります。逆に言うと、呼気中水素濃度が低い方は、体中にヒドロキシラジカルが多いと推測されます。ヒドロキシラジカルが多い人は、血管が収縮し血流が悪く、炎症が強く、免疫機能が低下しいろいろな病気に罹患している可能性があります。眼科疾患でいうと、緑内障、加齢性黄斑変性症、黄斑浮腫など、全て眼血流が悪くなり、緑内障は眼血流が悪いために、網膜神経線維が薄くなり、視野欠損になります。黄斑変性症は眼血流が悪くなり、リポスチンなどの老廃物が
斑部に貯まります。黄斑浮腫は血管から浸出液が網膜内や網膜下に貯まります。ですから、いずれも、眼血流が悪くなり、OCTA(光干渉断層計で眼底の血流を描出する新しい検査法)で網膜血管密度が低下します。ですから、OCTAである程度の眼血流を判定することが可能になりました。OCTAは非侵襲で、短時間に測定でき、ほとんどの眼科にありますので、容易に計測することができます。
これまで、眼血流を増やす方法がなかったので、正常眼圧緑内障に治療でも、より眼圧を下げるしか方法がありませんでした。しかし、眼圧を下げると言っても最終的には静脈に房水は流れますので、静脈圧より低くすることができません。つまり、高眼圧の緑内障は眼圧を下げることにより、緑内障の進行をある程度抑えることができますが、緑内障の90%を占める正常眼圧緑内障の治療は血流を改善することでしか、進行を防ぐことはできません。我々が眼疾患に高濃度水素吸入を行うのは、眼血流を増やしてヒドロキシラジカルを減らすということに繋がります。
ところが、NTG(正常眼圧緑内障)の人に高濃度水素を30分吸入させるだけでカラーマッピングで暖色系が増加(血流が良くなります。また、3ヶ月間夜間就寝時に水素の吸入を続けると、正常の人と同じよう血流になります。
30分高濃度水素吸入前後で呼気中水素濃度は300倍~400倍上昇し、3時間程度で吸入前の値に戻ります。5時間以上水素を吸入すると動物実験では血中水素濃度は15時間、高かったという報告もありますので、夜間就寝時吸入を続けると、人間でも同様に血中水素濃度が高く、呼気中水素濃度も高い可能性があります。今後、吸入量、吸入濃度、吸入時間で網膜血管密度がどのように変わるかを検討してゆきます。

