2024年4月より協会けんぽの人間ドッグでの血圧の高血圧として医師の診察を受けるようにという勧奨がこれまでの収縮期圧/拡張期圧が140/90mmHgから150/100mmHgに変更となりました。

この変更で高血圧として内科に来院する患者さんが1/10に減ると言われています。内科学会などの高血圧の定義は変わらないので、人間ドッグと病院での治療に対する考え方が大きく変わったのに、マスコミも全く報道しませんし、おかしなことになっています。考えてみれば、年齢に関係なく140/90mmHgを一度でも超えたら高血圧というのは非常に乱暴な考え方で、将来的な脳梗塞や心筋梗塞を減らすという大義名分で降圧剤を出しますが、75歳以上で心肺機能が落ちている人はむしろ降圧剤使用で生命予後が悪くなっていますし、血圧低下によるふらつき、薬の副作用などで、年齢、体質などを考えるべきだと思います。さらに、降圧剤を内服することにより、どれだけ、将来的な梗塞を減らせるかというBenefitをみても500名で1名という結果で、本当に意味があるかどうか不明です。また、眼科で数多い疾患で正常眼圧緑内障という眼圧が低いが血流が悪いために視野が悪くなる病気がありますが、正常眼圧緑内障はもともと、低血圧の人に多く、しかも29%が降圧剤を内服していて、内服前の血圧もせいぜい140/90mHg程度でした。降圧剤を出され、現在の血圧が100/50mmHgと非常に低く、OCTAで眼血流を調べてみると視神経乳頭周辺の眼血流が非常に悪いことがわかりました。いわば、我々眼科医からみると、正常眼圧緑内障の3割は医原性の低血圧による正常眼圧緑内障ではないかと思われます。血圧をある程度の高さに眼科医と相談しながらコントロールしていただき、眼血流を増やすために水素の吸入が必要と考えています。