3月10日(日)東京大学伊藤謝恩ホールにて開催された第4回セミナーに参加し、講演をさせていただきました。

ホールは満席になり、WEBでの参加や質疑応答もあり、回を重ねるごとに熱気を感じます。

今回は、簡単に内容を紹介します。

講演1は理事長の赤木淳児先生の 「免疫の指標」は1)善玉キラーT細胞、2)抑制性キラーT細胞、3)悪玉キラーT細胞の3つあり、1)は癌患者では1)は予後良好、3)は予後不良に関係し、2)は手術可能で治療とともに、減少し、再発すると再増加する。

悪玉キラーT細胞をいかに減少させるかが重要で、免疫療法+αとしてオブジーボ・ヤーボイ、IL6阻害剤、アバスチン、水素ガス、タヒボなどが使用されているとのことでした。

講演2はチエンマイ大学のカニカ・ポーンプットクン先生の大気汚染の元凶であるPM2.5を水素吸入により除去するプロジェクトの話でした。水素とは何ぞやから住民に説明する息の長いプロジェクトになりそうです。

講演3はチエンマイ大学放射線腫瘍学教室教授 イムジャイ・チタパナルックスの局所進行頭頚部眼に対する水素ガス吸入の可能性と安全性を確認する、今回は頭頚部眼に対して化学療法+放射線療法(33分割)の1時間前に1時間の水素吸入を行った結果、化学療法+放射線療法の副作用が10名全員、副作用が全くなく、安全性は確認されたので、今月末より2重盲検で水素群、水素なし群でデータを取る予定とのことでした。

午後の講演4は私の講演で眼科疾患に対する高濃度、高流量水素吸入の眼血流に対する効果―正常眼圧緑内障(NTG)と開放隅角緑内障(POAG)の比較を話させていただきました。血流を直接見ることができるのは眼科だけですので、OCTAの血流が良くなる状況は非常に皆さん驚かれました。その中でNTGが低血圧、POAGが高血圧が多いにもかかわらず、降圧剤の内服がNTGで18%、POAGで21%と変わらないことは、内科の先生が年齢を考慮せずに130~140mmHgあると降圧剤を出しているという現状でした。これは、医原性の低血圧やNTGをつくっているのではないかという提言をして、内科の先生に警鐘を鳴らさせていただきました。

今回は眼科の先生の参加や視聴も多く、いろいろな質問のいただきました。眼科での水素吸入が一般化されることを望みます。

講演5は宮川 路子 先生の水素・栄養療法の健康効果のお話でした。宮川先生は「最強の水素術」を出版され以下に水素が有用であるかを多くの文献と実地体験で詳細に説明しています。当院でもこの本を外来において、皆さんに読んでいただいています。

高濃度ビタミンC点滴については全ての活性酸素を下げるために、あまりよくないというのが最近の考え方で質問をして、それは、同意を得ました。病院では高濃度、高容量の水素吸入器を使い、自宅では低用量でもよいから、毎日使用し、補助的に水素サプリメント、水素風呂などをつかうというやり方は参考になりました。

どれぐらいの量が最適化はまだ、結論が出てないので、今後、吸入量でどれぐらい血流が変化するかも調べたいと思っています。

講演6は東京大学大学院のエルドンフ先生のRNase T2欠損マウスの炎症病態に対する水素眼湧水の効果の検討で水素含有水を飲ませた場合、RT2欠損マウスは自己炎症性疾患モデルであり、肝臓と、脾臓で、水素水が炎症やサイトカインの異常を抑制させるというものでした。では人間ではどの程度水素水を飲めばいいかについては、まだわからないとのことでした。

講演7は水素医療の基礎と新しい臨床応用の可能性についての講演で、1.9気圧の高圧水素を用いることにより、パーキンソン病の人が普通に歩くことができるようになる映像、また、ふるさと納税企業版を用い、全国で、難治性疾患をいかになおしてゆくかを町おこしのようなとらえ方で実践している姿勢に感銘を受けました。

また、大阪大学との小林教授が開発したシリコン製剤により、腸内で水素を発生させる方法は、水素吸入が最も良いのですが、入院患者に水素機器を持ち込んで吸入しようとしても、病院が許可してくれないという問題がありますが、サプリメントであれば持ち込んで入院中も内服できます。それで、いろいろな疾患が良くなったという話がありました。水素吸入を自宅でするのは金銭的な問題もあり、なかなか難しい、働いている人が週1回通院して吸入することも難しい、そういう人には、第3の方法として水素サプリを1日3錠飲んでいただく。1錠で800mlの水素が腸で発生します。吸入のメカニズムとは異なりますが、生理的に発生する水素の補完としてはかなりの量になります。当院でも、今後、水素サプリメントを普及したいと思っています。

講演8:水素療法:未来への一歩、和久医院の和久晋三先生の講演で、患者さんからの感謝の言葉であふれかえっていました。医者冥利に尽きる話ですが、水素療法に関しては驚くほどの論文が出ているにもかかわらず、保険診療もなっていない怪しい治療だという認識が医者のなかでは、はびこっています。手術の麻酔ガスはなぜ効くのかも未だしょうさいはわかっていないのに、古くからほぼ安全に毎日汎用されているのに、水素と聞くと自分が知らないから、習ったことがないから拒否反応をおこしてしまいます。

それを広めるのが我々の役目だと思っています。同感です。

今回の講演で30年ぶりにテクノストレスで治療した患者さんに再開したり、いろいろな人から話しかけられ、参加したことが貴重なことに感じられました。来年はより多くの眼科医に参加していただきたいものだと思っています。