緑内障が高眼圧だけが原因でなく血流が何らかの関係があることは知られており、既にコンセンサスを得ています。しかし、それでは、血流を改善する方法が見つからず、眼圧によって血流が悪くなるのではないかと言われていました。また、正常眼圧緑内障(NTG)は低血圧に人が多く、高眼圧の開放隅角緑内障(POAG)は高血圧が多いと言われていますが、それと、血流の関係もわかっていません。

 我々は、緑内障で眼血流が悪いことをOCTAで確認し、血流を改善する方法として高濃度、高流量の水素吸入が効果があることをこれまで発表してまいりました。その時に、血圧との関係も調べてみました。すると、正常眼圧緑内障は収縮気圧(SP): 113±14mmHg, 拡張期圧(DP):70±11mmHg, 開放隅角緑内障は

SP::141±22mmHg,DP:84±10mmHgと有意にPOAGの血圧が高かったのですが、NTGの血圧の低い人の18%が降圧剤を内服しているというのは衝撃的でした。つまり、高齢者で血圧が130mmHgを超えていると一律に降圧剤を処方されている場合があるということで。そのために、NTGがおこっている可能性があります。これは、眼科医と内科医が十分話し合う必要があると思います。また、血圧が何と相関しているかを調べるとPOAGでは単回帰で拡張期圧が鼻側水素吸入前後の黄斑周囲の網膜血管密度比と負の相関(p=0.02756)、NTGでは収縮気圧と耳側の水素吸入前後の黄斑周囲網膜血管密度比と正の相関(p=0.0224)が認められました。これがどのような意味があるのかは、今後のデータの積み重ねが必要ですが、少なくとも、血圧と、眼血流の変化に関係があることが証明されました。これに関しては3月3日との東海眼科学会で発表いたします。