正常眼圧緑内障(NTG)は、いわゆる開放隅角緑内障(POAG)と全く異なる疾患だと思っています。よく、正常眼圧といっても、日内変動で昼間眼圧が低いだけだとか、俯き試験で眼圧が上がるから、同じだという意見を聞きますが、遺伝子も異なるし、眼圧に起因するものではないと思います。

 つまり、血流が悪いということが一番重要な因子になります。

 正常眼圧緑内障の人は低血圧が多く、睡眠時無呼吸症候群の人が多いと言われています。拡張期血圧-眼圧が50を割ると視野進行が速いと言われますが、まさにそうです。

血圧が低い人は十分な血流を体に送り出すことができないわけですかた、視神経乳頭周辺の血管の血流が悪いです。

水素の吸入前後の血流増加を調べてみると、NTGとPOAGで異なることがあります。視神経周囲の網膜厚はNTGもPOAGもともに薄いですが、吸入前の網膜血管密度はNTGがより低く、POAGはある程度保たれているように見えます。これは、もう少し症例を増やさないとはっきりしたことは言えませんが、水素吸入30分後の血流はNTGの方が著名に増加します。一方、POAGは視神経乳頭周辺より、黄斑周辺の網膜血流が水素吸入後増えます。NTGは視神経周辺の網膜厚が薄いところのヒドロキシラジカルが多く、POAGは黄斑周辺のNFBD部位にヒドロキシラジカルが多いのかなと現時点では考えています。5月末にキャノンOCT-A1が稼働できると思いますので詳細を検討したいと思っています。