2週間借りていたキャノンの光干渉断層計 OCT-A1での高濃度水素・酸素混合ガス30分吸入前後のスケルトン密度測定を64眼施行いたしました。

 正常眼11眼、緑内障眼43眼、黄斑疾患眼18眼です。正常眼は視神経乳頭周囲(6×6㎜)の網膜血管密度は変化なく、黄斑周辺(4×4mm)は若干血管密度上昇、緑内障眼は視神経乳頭周囲の網膜厚だけでなく、黄斑周辺の網膜厚もNFBD(網膜周辺線維束欠損)のために正常眼と比較し有意に薄くそのために、網膜血管密度も低い、それが、水素吸入により網膜血流が増加し、NFBDの部分の網膜血管密度が有意に上昇していました。上昇率はPOAG眼は視神経乳頭周辺より黄斑周囲の方が増加量が多く、一方、黄斑疾患群は、黄斑周囲より、視神経周辺の方が上昇率が高かった。

 つまり、水素吸入前後の血流増加は基本的血流量が増えているわけではなく、ヒドロキシラジカルがより多い部位に働いてその部位の血流を上昇させる。緑内障は、より黄斑周辺の血流が増え、黄斑疾患は、黄斑部の血流は緑内障より多いため、視神経周辺の血流を増やす方が多いという解釈をしています。緑内障の中でも眼圧の低い正常眼圧緑内障の治療として、あるいは黄斑浮腫やレチノスキーシスの治療にあるいは抗VEGF抗体硝子体内注射の数を減らすためにも有用と考えています。

 今年は日本眼光学学会、日本緑内障学会、日本臨床眼科学会で、高濃度水素吸入による眼血流の変化について発表する予定です。