緑内障のメカニズムは眼圧が高いことにより、網膜や視神経が障害を受けて視野が悪くなるというのが一般的な考え方です。勿論、高眼圧が続き徐々にそうなることは理解できますが、日本では正常眼圧緑内障が70%も存在します。よく言われるのが、眼圧の日内変動があり、1日のうちで高眼圧の状態があるが、測定時には眼圧が低いという説明がなされていますが、眼圧が10mmHgの低眼圧緑内障も存在します。その場合、いくら日内変動があっても高眼圧にはなりません。また高血圧の場合でも血圧が高くなくても、血管が脆弱で通常では影響がないような血圧でも高血圧と同じ症状を起こすのと同じで、視神経が弱いために低い眼圧でも緑内障になると言われえています。本当にそうでしょうか?

現在、緑内障の研究者でも眼循環や眼血流が緑内障に関係しているという考え方が、少しずつ発表されています。

ただ、眼血流を増やす方法がないので、臨床的にはより眼圧を下げるために、点眼の種類を増やしたり、ろ過手術でより眼圧を下げる治療が行われていますが、眼圧が10mmHgの緑内障の眼圧をそれ以下に下げることは最終的に静脈に流れるわけですから、それ以下にはならないわけですし、低眼圧黄斑証になり、より見えなくなったり、眼圧を下げても視野進行が進む場合の方が多いようです。

緑内障は視神経繊維束欠損部位の血流は低下しています。視野欠損部位はさらに血流がなくなっています。つまり、血流減少が緑内障の本体ではないか、眼圧が高ければ、それによる圧迫もありますが、眼圧が高くなることによる血流減少の方がより、優位に働いていると思います。

根本的に緑内障の概念を変える必要があるのではないでしょうか?点眼のなかにも眼血流を増やすことを狙ったものもありますし、グラジェノックスのように網膜血流促進をうたったサプリメントもでています。ただ、その効果は本当に血流を増やしているとはいい難い面もあります。

 その点、高濃度水素・酸素混合ガス吸入はわすが30分の吸入で、緑内障患者の視神経周辺の網膜血管密度がOCTアンギオで有意に上昇しますので、緑内障治療、特に正常眼圧緑内障の治療に有用と考えています。メカニズムについては次回ご説明いたします。