網膜血管は、血管の中で唯一、直接見ることができます。

眼科医は、眼底検査により、動脈硬化所見、高血圧所見、網膜出血、中心静脈、中心静脈の閉塞など、見ることができますので、全身の血管がどうなっているかも推測できます。

造影剤を入れたアンギオグラフィーで血流動態を観察することもできますが、造影剤の検査はショック症状や、アナフィラキシー症状を起こす可能性がありますので、どうしても必要な人に、肝機能腎機能が正常な人のみに行います。

ところが、OCT(眼底三次元画像解析)の発達で近赤外線を用いて組織の断面を撮影することができるようになりました。さらにOCTアンギオグラフィー(光干渉断層血管撮影)は造影剤なしに血管の柚須を検査できます。OCT画像は変化のないもの(動いていない部分)と変化のあるもの(血管内の赤血球など)を区別することにより、血管の変化や血流を測定することができます。

高濃度水素。酸素吸入が生体の血流にどのような影響を与えるかを検討するには非常に良い機器です。

これまで、水素吸入前後で血流改善が認められましたが、網膜神経線維が薄いところなど網膜異常部位の血流改善が著しく、正常な網膜は少しの上昇か変化がないという興味ある所見を得ています。つまり、病変部の血流が改善するということです。これは、病変部の酸化が強く、ヒドロキシラジカルが多数発生しているので、水素が、ヒドロキシラジカルと結合して水となり、ヒドロキシラジカルがなくなるため、NO(一酸化窒素)の働きで血管が拡張し、良い活性酸素であるスーパーラジカルなどの働きが強くなるためと思われます。

網膜血管が、このような変化をもたらすのであれば、全身の血管でも同じような現象が起こるはずです。

悪い部分に働くというのはとても良いことで、コロナ後遺症、コロナワクチン後遺症など脳の微小血管の血栓が原因と思われていますので、そこだけに働くのですから、非常に効果的です。ただ、微小梗塞であったとすると、長時間の吸入が必要ですので、夜間就寝時にずっと、吸入することが求められます。短期的な改善を望むのであれば、高圧水素・酸素吸入装置に入れば、1回の吸入でかなり改善するようです(岡崎ゆうあいクリニック小林先生のデータ)。ただ、1週間で元に戻るようですので、数回の施行が必要になりますが、1回高圧水素をやったあとは、自宅でET100あるいはET120で1分間当たり1200mぁるいは1320mlの水素の吸入を毎晩行えば、維持できるのではないかと考えています。

当院で動眼神経麻痺になった患者さんが発症2週間で高濃度水素吸入をやって、1日2時間の吸入を、2から3回やっただけで、完全緩解しています。これも、動眼神経の栄養血管の微小血栓が原因だったのだと、推測しています。

15分の水素吸入であったとしても、病気のある人では、すぐに効果を感じることができます。これは、体の悪い部分に、水素が働いているのだと思います。健康な人は何も感じません。短期的には病変部に効果があると思いますが、長期的には、慢性の炎症などによるPSAの値などは、3か月以上の吸入で低下してきます。

今後も、水素吸入とOCTアンギオでの血流を検討してまいります。