元々、私の専門は屈折調節でした。現在の日本の眼科は白内障手術を中心とする手術が前面に押し出され、研修医は手術をやりたいという気持ちで眼科に入局します。屈折調節は、視機能、どのように見えるかを考える学問で、
手術から一番離れたところにあります。最近は、誰も視機能という学問をやりたがらず、現在、全国に100人以上いる大学の眼科教授のなかで、屈折調節を専門家は、一人もいません。もちろん、昭和20〜60年頃は、近視を専門にしていた人がたくさんいたのですが、時代の流れでしょうか。唯、近視矯正手術の出現で、屈折調節をもう一度、誰もが勉強し直さなくてはならない時代に変わろうとしています。
屈折矯正手術を行っている人の大半は、屈折調節専門医ではありません。
学会での発表を聞いても、視力が幾つということが主体で視機能についての検討がほとんどありません。見えるということと、見やすいということは、全く違う概念です。
また、手術の結果は短期的なものではなく、一生の中でどうかということです。一時的に良くなったではなく、いつまでも、見えている必要があるのです。年をとれば、老眼になり、近くが見にくくなります。しかし、近視の人はメガネをとれば、見ることができます。一方、手術で正視になると年をとると老眼鏡を掛けなくては見えません。20~30歳の人の近視矯正手術は正視で問題ありません。老眼になるまで、20年かかります。年をとったからですまされるでしょう。しかし、現在老眼がなくて、もうすぐ老眼が出てくる人の眼は、果たして、正視にする必要があるのか。それを主張するために、近視矯正手術をはじめたのです。