日本での糖尿病の患者は推計で1000万人で、糖尿病網膜症の患者は300万人、増殖糖尿病網膜症は60万人~70万人、糖尿病黄斑浮腫の患者も約70万人いると言われています。
糖尿病の治療はもちろん 、内科でお願いしていますが、糖尿病網膜症でも、毛細血管瘤や、点状出血、硬性白斑などの単純網膜症では、内科的治療のみで眼科は1回/3カ月の定期観察のみです。
眼科的な治療が必要なのは前増殖型と呼ばれる、無血管野(血流の途絶えた領域)や綿花庸白斑等がでてきたときです。この状態で汎網膜光凝固をすると、新生血管などが発生せず、増殖型になりません。
ただ、単純型でも糖尿病黄斑浮腫が生じると、急激な視力低下に陥りますので、この状態になった場合、すぐに抗VEGF抗体(新生血管を抑えたり、浮腫を引かせる効果があります)を硝子体中に注射します。そうすると、浮く腫はすぐに引き,視力が回復します。ところが、すぐにまた、浮腫が再発することが多く、何回もあるいは2~3カ月に1回1年ほど注射を打つ必要がある場合があります。金額的にも、大変です。
ただ、注射を打つとたちどころによくなりますので、患者さんはこの治療を望みます。これが眼科の保険点数のかなりの部分を占めますが、これは、お薬の点数だけで、処置料は、わずかで眼科の収益には全く貢献しません。
増殖糖尿病網膜症は以前は失明率のトップでしたが、現在は3位に落ちました。それは硝子体手術の発達です。
増殖組織をカッターで切り、網膜下の牽引も網膜を切除して、取り出し、空気を入れて網膜を伸ばした状態で切除部を汎網膜光凝固で網膜を接着させ、最後にSF6ガスを注入します。
伸びがどうしても悪い時には強制的に網膜を伸ばすために、シリコンオイルを注入しますが、最近はそれほど、酷い網膜症はほとんどみなくなりました。それが、失明率減少のおおいなる原因です。
糖尿病がコントロールできていても、増殖型は進行します。いかに、前増殖期で光凝固を行い、食い止めることが大切です。