我々の施設ではプレミアムIOLつまり多焦点眼内レンズの比率が2017年、2018年ともに50%をうわまわっています。今年もほぼ、その傾向が続いています。平均の多焦点率が3%〰5%ですので、非常に高率です。

 その理由は当院が、もともと、LASIK,PRKなどの屈折矯正手術つまり、自費診療を手掛け、自費診療であるプレミアム多焦点眼内レンズへの対応ができていたこと、先進医療が認知され、保険で先進医療特約に入っていると多焦点眼内レンズ挿入術の自費部分が保険会社から支払われること(つまり、自費診療でありながら費用が発生しないこと)、以前にLASIKを行った患者さんが白内障年齢、老視年齢になったことなどが、あります。

 では、多焦点眼内レンズで皆が満足するかというと、そういうわけにはいきません。なぜなら、若い頃の自分の目に戻るわけではありません。人工的なレンズが2つの焦点があり、眼鏡を使用する頻度が低いということにすぎないからです。

 また、多焦点は、術前に適応検査、カウンセリング、術前検査と順を追って、詳細に細かく患者さんの話を聞いて、どういうタイプの多焦点を選ぶか検討します。また、患者さんの性格なども考慮しますが、患者さんの期待を下げるようなハローグレアは必ずありますよとか、眼鏡が必要な場合があります。度数の誤差はありえるので、その場合はLASIKあるいはPRKで処理します。など、いろいろ説明しますが、患者さんは、プレミアムだからとか、値段が高いからきっと、とてもいいと思いこみます。

 実際95%以上非常に満足しますが、多焦点の見え方の慣れ、像が2つ存在し、1つははっきりみえて1つはぼけて写るが、徐々にボケ像は気にならなくなるとか、ハロー、グレアもほとんどが3カ月、遅くとも6か月で脳の抑制で気にならなくなるという話をしても、術後見え方の不満を訴える症例はときどき見受けられます。

 物事は100%ということはありませんので、完全に全員が満足することはないと思いますが、不満足なりに対応できること、度数のずれにはタッチアップ、ハロー、グレアに対してはM-POSレンズ眼鏡装用、後発白内障に対してはYAGレーザー後嚢切開など、詳細な検討は必要です。

 もちろん、術前の、詳細な説明は重要ですので、カウンセリングシステムを持たない施設は本来、多焦点をやるべきではありません。また、度数の誤差が不満症例のほとんどですので、LASIK施設と連携を持つべきと思います。

 それらのもろもろが、多焦点を行う施設が増えない、あるいは、症例数が増えない原因と思います。