以前は、網膜剥離は大変な病気でした。私が眼科に入局した40年前の手術はバックリング手術だけで、強膜から、シンリコンスポンジあるいはバンドを網膜裂孔の下方の網膜からバックルの上に孔がある位置に倒像鏡で見ながら、縫い付けていました。ジアテルミーで網膜下の下液を抜き、術後は落ち着くまで絶対安静で寝ていなければならない病気でした。

 それが、今では、硝子体手術で網膜裂孔の原因となる牽引をとって、ガスの圧迫だけで、閉じるようになりました、黄斑部に近い中央の孔や、下方裂孔に対しては、俯き姿勢をとって、寝なくてはいけないという大変さはありますが、安静にする必要がないので楽です。ガスも空気から、SF6ガス、C3F8などの数日から2週間ぐらい入っているガスなど単純な剥離から、増殖性網膜症になっている重篤なものにより、種類が異なります。PVRと呼ばれる、網膜下に索状物があったり、深い皺がある場合には、網膜切除をして空気ガス置換術をして伸ばし、シリコンオイルを入れて伸ばす場合もあります。シリコンオイルは術後ある程度の期間で抜きますが、抜けない場合もありました。25年前ぐらい前は数時間かかっていた手術が今は30分あるいは、せいぜい1時間で終われるようになりました。全て局所麻酔で、テノン嚢下麻酔、あるいは点眼麻酔で行う施設もあります。硝子体手術の場合、後で核白内障がおこりますので、50歳以上の人にはトリプル手術で同時に白内障手術をして、眼内レンズに入れ替えます。40歳未満は水晶体をのこしますが、ある程度たつと白内障手術をしなくてはなりません。

 その当時は、トリプル手術をすると海賊医と言われたものですが、いつのまにかルーチン手術になりました。