網膜色素変性症は遺伝性疾患で徐々に視野が狭くなり、暗いところが見えなくなります。

 残念ながら、現時点では根本的治療法がなく、対症療法のみです。カルナクリンなどの循環改善剤、アダプチノールの内服ぐらいです。以前は、高圧酸素療法を試すと、視力が急激に改善しましたが、やめると元に戻りました。ろうそくの炎に酸素を与えると、明かりは明るくなりますが、早くロウソクは消耗しますので、やることが、正しいとは言えないとして、中止しました。

 現在、我々の施設では、週に2~3回スーパーライザー(SL:近赤外線レーザー)を頸部の星状神経節にあてて、上半身の血流をよlくすることにより、眼底の血流を少しでも良くして、見え方の改善を図っています。血流の改善は肩こりや、頭痛にも効き、私は疲れた時、SLをすると、気持ちがよくなり、眠ったり、疲労回復になります。

 本当は、プロスタグランディンの点滴をすれば、動脈が拡張するので、血流が改善しますが、自費診療になってしまいますので、現在は、おこなっておりません。

 将来的にはiPS細胞で治療が可能になるかもしれませんが、色素変性症は網脈絡膜を全て作らなくてはならないので、ハードルが高く、実現の道はまだまだ、先のことです。人工網膜や、カメラを埋め込む手術も現在、治験中です。

 我々が、今、やらなくてはならないことは、見え方が良いうちに将来的な失明に備えて、拡大読書器の訓練や、白杖の使い方を覚えてもらったり、できるだけ進行を抑えるために、短波長可視光線をカットする眼鏡の装用、白内障手術の眼内レンズを必ず着色眼内おレンズにすることなどです。また、患者さんには網膜色素変性症の会などのご紹介をしています。