フェムトセカンドレーザーの理想
この器機はマイクロケラトームと比較して以下のようなメリットがあります。
1)全体が均一の厚み(±10μの精度)で平らなフラップができる
2)フラップエッジの角度が自由に設定できる(そのため組木細工のようにできる)
3)形状も円だけでなく楕円もできる(元々角膜は横楕円であるので、遠視矯 正に有利)
4)現在でも、角膜リング(円錐角膜用)、角膜インレー(老視矯正)、角膜移植
(ジグザグやシルクハットのような切り方ができ、将来的には無縫合で角膜移植ができるのも夢ではありません)に使用できる。現在、白内障手術(既に可能)や、エキシマレーザーのように角膜実質を削ることができそうです。
しかし、
フェムトセカンドレーザーの現実は?
1)欧米製のため、サクションリングが大きく、日本人で入らない人がいる
2)サクションとレーザーが連動していない(サクションが外れてもレーザー は動いているので、、注意しないといけない)
3)レーザー本体の大きさと環境整備の問題(確かにこれは大変です。以前のクリニックでは手術室に、エキシマとイントラレースを同時におく事ができず、別々の手術室を使用しました。
手術室環境を温度21±2度、湿度50%以下にしようとすると、水冷では駄目で、空冷の空調を新調せざるを得ませんでした。
外気の導入は日本の気候では無理で、クリニック内部の空気を入れざるを得なかった。もちろん、それでも24時間空調と、除湿機を3台24時間廻しています。
ヘパフィルターを使用して現在、手術室はクラス1000に保っています。これらで、何千万円かの投資です)
4)導入・維持のコスト、消耗品のコスト(これが一番大変です。イントラレースFS60で購入に5500万円、保守料が1年600万円、消耗品として1眼あたりコーンが22000円、アイレーシックにするにはVISX STAR S4-IRが1億円、保守料が600万円、消耗品キーカード1眼22000円、wavescan購入1000万、保守料100万円、その他の消耗品で一人当たり10000円、です。
現在、円高ですので、未認可の時は今より安く導入できましたが、現在は円価格のため、1ドル100円の固定レートですので、以前より高くなりました。
ものすごい数を手術しないと絶対にペイできません。数をたくさんやっている施設が消耗品だけで両眼で10万円近い金額になるわけですから、安売りのレーシック量販店でアイレーシックができないのは当然のことです。)
セントラルアイクリニックの現状
我々の施設でもレーシックは大幅な赤字です。アイレーシックに変更したときに両眼で8万円上げて40万円にしましたが、それで、患者数が激減しました。また、銀座眼科の問題、リーマンショック、トヨタショックによってレーシックは壊滅的な影響を受けました。
現在、移転価格で35万円にしていますが、この金額では実際は非常に大変です。
安定的な保険診療と多焦点眼内レンズ、フェイキックIOL,オルソケラトロジーなどの他の自由診療をやっていなければ、完全に倒産しています。
最先端の屈折矯正手術の今後
そう考えると、理想としては素晴らしい器械ではありますが、費用の問題で、ほとんどの施設では導入できないと言うのが現実です。
割の合わない手術というのがご理解いただけたでしょうか?
しかし、今後、いろいろな手術に応用でき、原理や特性を習熟することは今後の眼科医療にとって非常に大切なことであり、導入費用や消耗品コストが下げることができるかどうかが今後のイントラレースやアイレーシックが増えて屈折矯正手術が再び注目を集めるか否かの鍵になりそうです。