医療崩壊を食い止めるには?
日野原先生の講演でもう一つ印象に残ったのが、医療崩壊を食い止める方法です。
政府は医師の数を増やすために定員を200名ほど増やすという方法を取ろうとしています。これに関しては、日野原先生の当時の鳩山総理に聞かれて、うまくいかない。無理ですよ。と答えたそうです。なぜなら、医者になって働けるまで、現在のやり方では最低でも8年かかります。また、8年後も不足しているところに充足される保障はありません。
スーパーナースやスーパーテクニシャン
日野原先生が提唱しているのは、看護師やパラメディカルを有効に役立てることです。先生は4年生の看護大学をでたナースを、後2年特別に教育して、産婦人科では分娩をさせる。あるいは麻酔科では挿管させたり、ドクターの仕事の一部を移譲できるようなスーパー看護師を養成するということでした。勿論、これには医師会は反対していますし、医師法の改正も必要でしょう。しかしながら、現実的には、これが、最上の方法であることは確かです。
全て医者ができるのか?
考えてもみてください。全て、こまごましたことを全て医者がやるということになったら、医者の数は何人いても足りません。
医者がうまいのではなく、数をやった人がうまいのです。手術も実際はそうです。テクニシャンの方が何でも上手です。注射や点滴は看護師の方が圧倒的に上手です。挿管も救急救命士の方が上手です。
もちろん、治療をどのように選択するかというようなことは医師の仕事でしょう。しかし、救急の場所で、できる人間がいるのに、法律があるからといって、救命せずに、医師の到着を待って患者が死亡したり、医師がくたくたになって、仕事を止めたりというのを見過ごせというのでしょうか?
日本人の特質
日本人の勤勉性が、原因でしょうか?何か一つのことを決めると、必ずそうしなくてはならないという民族性はよいこともたくさんありますが、融通性が利かないという点では、困った問題を抱えています。
本当は法律は原則だけを決めて、細かいことは解釈をかえることで、うまく運用することがよいのです。そこで、抜け道を考えてよからぬことをするから、細かい細則が必要ということなのでしょうが、個人情報保護法のために、大事な情報を集められなくなるというような矛盾があるように、日本人の特性で運用が非常に下手です。
実際の医療
医師会も看護師が医者の業務を犯すのに反対というのであれば、細々とした仕事を全部やるのかというと、実際には看護師にやらせている部分が多々あります。そうでなければ、医療は実際回りません。責任は医師が全部しょって、スタッフにやらせればよいのです。
助けた人が犯罪者にされる世の中
助かった人が、貴方は医師ではないから、私を助けた罪で、刑務所に行きなさいおというわけないでしょ。それを、傍にいた人が、投書などをして、裁かれるのです。人間性を疑いたくなります。
医療はチームワーク
医療はチームワークです。これまでの、ピラミッド型の一番上に医師がいて、その下に、看護師、パラメディカル、事務がいるというのではなく、一つの仕事に対して、皆がチームを組んで、協力し合ってゆくものです。
私は、これまで、自分より能力の高い看護師や視能訓練士をみてきました。
ですから、極端なことを言えば、レーザー手術であれば、スタッフにやらせた方が良いと思うこともあります。実際にはできません。
手術をする前には、電話を取り、カウンセリングをし、正確な検査をして、患者さんの悩みや話を聞いて、これを全部医師が全て行うことは不可能なのです。私より、上手に説明できたり、カウンセリングをしたり、ケアだけでなく、スピリチュアルなことでも私より上のスタッフはいます。ですから、私は、私のクリニックでは、ミーテイングでも皆で相談して何事も決めます。院長が、こうしようではなく、皆の意見を聞いて、方向性を決めます。
医師は全ての責任を持つ
全ての責任は院長が取って、皆に自由にやらせる、これが最高のチーム医療であると思っています。ですから、日野原先生の話を聞いて、これこそ、私が望んでいた医療だと合点しました。