マドカ誕生。

あれだけ暴言はいたサミーが一番祝福してる…!その心理描写、時操の守り(?)の演出。

小さな命にテンションが上がるデスカラス班。そしてイチとサミーの決意。

一つの章が終わる毎に、イチの視界が広がっていく。

 

 

 

不思議そうにマリューが聞き返す。

「ラクスさんのお菓子、かなり美味しいと思うんだけど、お口に合わなかったかしら」

「いえ、そう言う訳では」

「子どもたちへの気遣いなら不要よ。ラクスさん、自分達では食べられないけど、作るのは大好きだから、材料さえ持っていけば何時でも作ってくれるの」

「あ、はい」

クムギはこれでも良家の出身だ。故に舌もそれなりに肥えているが、確かにとても美味しかった。

「そこが不思議なんだが」

「え?」

「いったい何がどうして魔法が人間の食事作りに興味を持って、実際にあそこまで上達するなんて珍しいなんてものじゃない」

この村、この山の中だけという狭い世界で生きている筈なのに、人間(というか、人間生活)への興味が強く、理解が深い。

何か釈然としないというか、腑に落ちないというか、裏があるように思えてしまう。

「そう言われても…私達が生まれる前からもうあんな風だったと聞いてるから」

祖父母以上の代から二人はいるのだ。

まぁ、実際は「過去」の頃から知っているのだが、「ここ」ではそれが事実だ。

「何も聞いてない、と」

「そうね」

おっとりとした、しかし、これ以上の追及を許さないというそこはかとない圧が滲み出ている微笑みに、デスカラスは小さく息を吐いた。

下手にこれ以上突っ込むと、村全体が強硬姿勢になりかねない。せっかく最初に友好的に接してくれて、魔法へのつなぎも作ってくれて、その魔法も自分達に出来る限りの譲歩をしてくれた。

今、これ以上を求めるのは愚策だろう。

そうこうしている内にムウが呼びに来た。

「こっちは全員揃ったぜ。準備はいいか?」

「ああ。何時でも」

「あれ?坊主たちは?」

「ウサギを捌いてくれてるわ」

「え?魔女協会ってそんなことも出来る奴いるのか」

「協会に入る前に培ったスキルだ」

流石に野生動物の捌き方なんて、魔女協会で教えたりはしない。

「んじゃ、ちょっくら呼んでくるか」

ムウが手をひらひらさせながら部屋を出ていく。

 

「お」

「あ」

ムウが目にした光景に短い驚きの声を上げた。

その声にイチとゴクラクも顔を上げる。

「器用だな、お前ら。随分綺麗にやってくれたなー、ありがとな」

ストレートにほめられ、感謝され、二人は照れ笑いした。

癖のありそうな感じも見受けられるが、朗らかで妙に人を引き付ける魅力のある人物だなと似たような事を思った。