爆蛸がなんだか哀れだったな…。漸く自分を顧みる事が出来るようになったのか。
そして流石に限界を迎えたデスカラスを、急行したイチが助けるのが熱い。前回のデスカラスと言い、出会ってまだそこまで経ってない筈なのに、二人の絆が強くて震える。
キラはオーブ人である。
だがオーブ本国で暮らした期間は短い。
「暑い」
「暑いですわね」
シーツがはためく中、二人で呟く。
「でも洗濯物はよく乾くね」
「ええ。お布団もふかふかですわ」
「そろそろ取り込まないと、今度は暑くて眠れなくなっちゃうかな」
「では取りこみましょうか」
ゆったりおっとり話しながら、のんびりした時間が過ぎていく。
僅かの時間許された、二人の自由時間。
ゆっくりと外の喧騒に煩わされずに、傷ついた心身を癒してほしいと言う、二人の周りの優しい人達の心遣い。
二人もそれは解っている。
だからこそ、今はそれに甘えて復帰したその時にはこの恩を返していきたいと思っている。
「取り込みとベッドメイクは僕がやるよ」
シーツだけならともかく、布団の取り込みはそこそこ力仕事だ。
「ではわたくしは冷たいお茶を淹れますわね」
この時期に関わらず、パタパタはためくシーツを眺めながら半ば日向ぼっこのような事をしていたから、なかなかに喉も乾いている。
キッチンに向かうラクスを見送って、キラも立ち上がった。
キラがオーブ本国で過ごした時間は人生の半分にも満たない。
しかも最初の2年間は重度の鬱とPTSDで、その頃の記憶は曖昧な事も多い。
夏も経験している筈だが、ここまで「暑い」と感じた記憶がない。そういう意味ではラクスの方がこの暑さには慣れているかもしれない。
「う~ん。上手くいかないなぁ」
ラクスが何時もやってくれているように、シーツがピシッと綺麗にならない。ぐちゃぐちゃな訳ではないが、なんだか緩んでいて綺麗とは言えない。
普段は取り込みまでしかやっていなかったから、こんなに難しいとは知らなかった。
何かコツがあるのかな、と考えていると丁度ラクスが呼びに来た。
「ごめん、ラクス。上手くできなかった」
「あらあら。でも眠れない訳ではありませんから、徐々に上手になればいいのですわ」
回数を重ねて行けば、自然と上達するだろう。
「お料理もお掃除も、キラはどんどん腕を上げておりますもの」
「今まで自分がいかに何もやってこなかったか、思い知らされてるよ」
「うふふ。わたくしはキラとあれこれやれるのが楽しいですわ」
キラはこう言っているが、別に何も出来ないという訳ではなかった。確かにレベルが高いとは言い難いが、目も当てられないと言うほど酷くはなかった。
「お茶が温くなる前にリビングに参りましょう」
「うん、行こうか」
こうして今日も一日がゆっくりと過ぎていく。
