流石にそろそろ終わらせないとなぁ…。
「アマテラスね」
マリューから聞いたリミのアイディアにムウは苦笑した。
「多分、リミはマリューの事を言ったんだろうが…どっちかと言うと代表の方がそれっぽいよなぁ」
「私もそう思うわ」
それでね、と言いながら、マリューは自分が調べたデータを見せた。
「これだとキラ君と対になってなくないかしら」
「太陽神たる女神の弟の月の神様か」
リミも恐らくツクヨミの存在は知っている筈だが、言わなかったのは戦艦には大人しい名前だからだろう。
「けど、名前は一つしか付けられないだろ」
「そうね。どのみち私達で勝手につける訳にもいかない事だし」
カガリに報告したら、どんな反応をするかと考えるだけでも楽しい。
ミレニアムへ戻ると、キラが格納庫まで迎えに来てくれていた。
「皆、お疲れさま」
「ありがとうございます、隊長」
「早速で悪いけど、着替えたらブリーフィング・ルームに集合で」
「了解!」
「リミも…無事でよかった」
「隊長の指示のおかげですよ」
それだけ言うと、キラは今度はハインラインがいる場所へ向かった。
リミ達がシャワーやら着替えをしている間に、少しだけでも機体の状態を確認しておこうとしているのだろう。
「じゃぁ、行こうかね」
ヒルダが言うと、全員が動いた。
4人が集合して5分ほどしてからキラがやってきた。
形式に従っての報告や反省、次への課題を話し合った後…普通にそれぞれの機体の整備へ向かった。部屋を出る直前、キラがリミに声をかける。
「リミ、整備が終わったら僕に連絡入れて。ちょっと話したい事があるから」
「了解」
整備に向かう途中でシンが話しかけてくる。
「なんなんだろ」
シンとしては、少しばかりの嫉妬も感じてしまう。確かに幼い頃からの付き合いなのは解るが、キラがああいう風に個人的に話したいという事は余りないから。
「う~ん。心当たりがない事もないけど、確信はないから何とも言えないわね」
なんにしろ、自分があーだこーだ話すような事はない。
そうして約1時間後、リミはキラの士官室にいた。
「呼び出された理由は解る?」
「少なくとも、後ろめたい理由は思い当たりません」
「ふふ、そうだね」
キラは聞いた話が幻なのではないかと思う位に、幼い頃のようにフワフワニコニコしている。
「この間くれたブライダル衣装の事なんだけど」
言いながら、キラはリミにソファを勧める。
「コーヒー淹れてくるから」
「…上官・部下としてではなく、友人として呼ばれたって事と考えていい?」
「うん」
”ブライダル衣装か…。もしかしてマリューさんからも連絡来たのかな”
コーヒーと共にフレッシュミルクとスティックシュガーも添えられる。
そして更にクッキー、ワッフル。しかもチョコクリームとホイップクリーム付き。
”ええ?キラ、もしかしてスウィーツ類持ち込んでる?”
「どう?パイロットとしてやっていけそう?」
「もう少し経験積めればね」
積むような事はない方がいいのだが。
「無理かもしれないけど、私、戦闘後の救急メンバーとしても出たいのよね」
「向こうからそういう要請が入ったら、だね」
戦闘直後のパイロットが救護要員として出ていくなどという、そこまでの人手不足になったらそこはまた今後の課題として挙げられるだろう。