最近また地震が増えてきた…。早朝の震度4はなかなか怖かった。しかも結構長かった。

 

 

標的が基地だけであったならば、コンパスへの出動要請は流石になかっただろう。

だが、近接する都市を破壊しながらの進軍となればそうもいっていられない。

優先するべきは民間人の安全。

それはファウンデーション事変後に世界での共通認識として確立されたものだ。国のメンツや外交の力関係など関係なく、これ以上の人的被害は許してはならない、と。

その共通認識がある中で、こんなテロを起こせばブルーコスモスは更に孤立することになるだろうに…いや、それでも尚コーディネイター憎しの感情が上回るのか。

 

結果として、コンパス部隊が現着して約30分で鎮圧された。

ウィンダムをはじめとして13機だったMSは全て無力化され、パイロットは捕縛。

テロ部隊が少数戦力だったため、この程度で済んだ。数が多ければ、無力化ではなく撃破が中心だっただろう。

以前は戦闘後はAAに一時着艦していたが、今はその後継艦が建造中であり、オーブから貸し出されたクサナギが一時その役目を担っている。

一通りのあいさつを済ませた後、ムウがリミに話しかける。

「どうだった。久しぶりの実戦は」

「どう、と言われても…皆の足を引っ張らないようにするのと、隊長に言われた役目を果たすのに必死でしたよ」

実際、最後方の配置であったにも拘らず、リミの疲労度は他の三人より大きそうだった。

「ほぼ三年ぶりの実戦としては合格点だったよ」

ヒルダの言葉に、リミは小首を傾げた。

「そうですか?」

どう贔屓目に見たって、自分の動きが一番悪かったという自覚くらいはある。

「それを自覚出来るって事は、他の機体の動きや戦闘状況をちゃんと把握出来てるって事だ。どうも君は自己評価が低くていかんな」

ムウが苦笑する。

まぁ、ずっとキラの戦いを間近で見ていればそうなってもおかしくないが、彼は…特別製だ。勿論、それを言う訳にはいかないが、ムウの直感がどうもリミは何かに感づいていると告げている。

とはいえ、リミが何も言っていない以上、こちらから何か言う必要もないだろう。彼女がキラに害をなす事など決してないのだから。

「宇宙に上がるまではまだ時間があるわ。報告が終わったら、それまでゆっくり休んで」

今のブルーコスモスには中心となる人物がいない。

何より、なんだかんだ言ってあのエルドアで戦力の多くが失われているから、以前より頻度が少なく規模が小さいから切羽詰まった状況ではない。

「…それでも喪われる命があります」

「ええ。でも…以前のキラ君みたいな状態にならないでね。リミさん」

階級ではなく、名前で呼ばれるのはマリューの気遣いだ。

キラとは違い、第一次大戦後、リミはオーブの軍事訓練を受けている。それでも始めが民間人として戦争の渦中に巻き込まれたせいで、やはり何処か普通の軍人とは感覚が違うのだ。

「なりませんよ。私には彼みたいな力はありませんから」

キラがああなったのは、出来る力があったからだ。自分には最初からそんな力はないから抱え込む事はない。

抱え込んだ所でどうにも出来ない、どうにもならない。

「ああ、いやいや。その考えも大概ヤバいぞ?」

やっぱりこの子、キラについて何か知っているんじゃないか?と思ってしまったムウだった。

 

 

当然のように戦闘シーン割愛。