もうこれだけでテーマ新規作ってもいい感じになってきた…。
「ガッバガバ…」
「欠陥プラン…」
当時、流されていたとはいえ、そのプランを成立させる側にいたシンとルナマリアは、余りと言えばあまりな評価に少しだけ遠い目になった。
「だって、遺伝子が全てなら、どう考えてもコーディネイターが支配層になるじゃない?それで圧倒的に数が多いナチュラルが納得するかしら?」
「それは…」
「でも、プランが実行されてたら、抗議デモすら許されないんじゃない?」
今回のファウンデーション王国のスラム街で起こっていた鎮圧行動のように。
そうなったら、自分の子どもはコーディネイターにしようと考える人が増えるのは間違いない。
でもコーディネイター技術は今でもかなりの金額がかかるから、結局最初からある程度の富裕層にしか許されない。
それ以外の人がしようとすれば、資金を貯めるためにかなり高齢出産になるのは避けられない。
ナチュラルとして生まれた子供が「どうしてコーディネイターにしてくれなかった」と反抗して家庭崩壊してしまう事も考えられる。
それにコーディネイターの出生率問題は解決する目途も立ってないし、この状況でコーディネイターが増えてナチュラルが減って行ったら緩やかに人生滅亡ルートに入らない?
第一、適性の職種に偏りが出ない筈もない。
ある職では人材が飽和状態。
別の職では全く人手が足りないって事は起こりえる。
もし、飽和状態の適性が後から出た人は、次の適性、更に次の適性と適性の低い職に回されることになって、その事実を隠されていたら「最適の職でも、自分はこの程度か」と絶望したら「満足して幸せに暮らせる」なんて無理。
もし本当に最適な職だったとしても、そこに「最適な才能」のバラつきもない筈がない。
そうしたらやっぱり「自分は最適な職でさえ無能」となって自棄になったりする事もあり得る。
例えば芸術系に最適な才能があるとしたら、音楽とか小説とか絵画とか…それをやっても全く売れなかったら?
後、極端だけど、一卵性の双子は結婚も相手も一卵性の双子じゃないと駄目になったりするのかしら?
次々と語られるそれに、シン達は驚愕した。
この人、ずっとこういう事を考えてきたのか?と。
「あー、何度か、キラ達の行動をプランの対案も示さずにただ反対した、とか批判してるの聞いた事があってねぇ」
その度にこういった事を言ってきた。
キラはシン達とは別の意味で瞠目した。
「そう言う事言ってる人、やっぱりいたんだ」
「ま、大抵の人はこれだけ言えば、黙ったけどね」
そもそも賛成派の人って、自分が今よりいい生活が出来るようになるって根拠もなく考えてる人が多いんだけど。
「それに対案も何も、あれって結局『内政干渉するな』で済むんだよね。あの時点でデュランダル元議長って、プラント最高評議会議長ってだけで、他国にプランを強制する権限なんてないんだから」
「そりゃそうだねぇ」
ヒルダがおかしそうに笑う。
実際にリミの言う通りなのだ。彼もその権限がない事を解っていたから、レクイエムやネオ・ジェネシスを使ってでも強要しようとしたのだろうから。
シンとルナマリアは思い出したくない黒歴史に天を仰いだ。
「でも一番問題なのは、性格とかの人の内面を全く考慮してない所」
リミがキラに視線を戻す。
「だってキラは確かにパイロットとしては世界トップレベルだけど、別に好きでやってる訳じゃないし。何なら、アスランもシンもそうでしょ」
大体、キラの最適な職種って、寧ろ技術者の方じゃないかしら?
しれッと言われて、キラとシンは顔を見合わせた。