あんな事言っといて、11日に7回目行って来ました。エイプリールフール・クライシス以来だったので、ちょっと新鮮だった。
全員が一斉に敬礼すると、キラはやんわりとそれを制した。
「今は業務中じゃないでしょ」
確かにここは食堂に隣接しているレク・ルームだから、その通りなのだけど。
「隊長がここに来るって珍しいですね」
以前よりましとはいえ、それでも准将であるキラの業務量はもともと多いのだ。
ただ、開発周りはリミのおかげでグッと楽になったし、特にプログラム系に至ってはハインラインが認めるほどだ。
しかも書類仕事も、リミがてきぱきと割り振るようになっていた。
『キラまでアスランみたいに頭のいいバカになってんじゃないわよ!』
ミレニアムに来て、きっかり一週間目にキラをそう怒鳴りつけたのは、二人だけの秘密だ。
「リミを探してたんだ」
「…私を?」
はて、キラが自分を個人的に探す理由があっただろうか。
首を傾げるリミに微笑みを向けつつ、キラは周囲をちらっと見渡した後「ま、大丈夫かな」と呟いて、モバイルを取り出した。
「カガリが大笑いしながら、送ってくれた」
「は?」
それは以前、ルナマリアに送られてきたものと同じ音声データだった。
「…アスハ代表にまで……」
何てことしてくれるんですか、あの子は。
そうは思ったが、笑いながらって?
「不意打ちとはいえ、あのアスランに一発入れて投げ飛ばすとは、やっぱりリミは凄いなって」
「いや、普通、自分の彼氏がそんな事されたりしたら怒りません?」
ルナマリアの言葉は尤もだ。
「う~ん。でも、カガリとアスランだしねぇ」
キラが苦笑する。
カガリの弟であり(自分が兄だと主張するのは諦めた。カガリがそれで納得するのならもういいや、なのである)アスランの親友である自分からしても、あの二人の関係は今一つ理解できない部分がある。
「で、僕が知りたいのは、どうしてリミがミネルバ時代のアスランの事を知ってるのかって事」
「あ、それ、私も思いました」
あー、やっぱりそうなるかー。
ルナマリアだけだったらなんとか躱せたけど、キラ相手にそれは無理だなー。普段ポヤヤンなのに、聡いんだもん。
メイリン、そこまで考えなかったのかなー?
ただ、面白そうってだけでやったのかなー。
思わず、遠い目になってしまう。
「リミ?」
「うん、この間シン達にこれ聞かれた時から、こうなるかもって思ってたから確認して、一応許可は取れてるけど…ここだけのオフレコにしてくれる?あ、代表と総裁くらいにまでなら…いいかな」
ため息交じりに言ったリミに、キラも小さく息を吐いた。
「それって、ターミナル関連ってこと?」
「ええ。アスラン自身も今は知ってる」
一体何事だ?と、シン達は顔を見合わせた。
「あの頃のアスラン、ターミナルの監視対象だったのよ」
「「え!!?」」
衝撃の告白に、シンとルナマリアの声が重なる。
それってつまり、ミネルバにターミナルからのスパイ(?)がいたという事なのか?
そんな視線に、リミは「勿論、誰がとまでは言えない」と付け加えた。
初見時、種割れの新規映像だけで大喜びしたのですよ、私は。