書けば書くほど長引く病。

着地点が見つかる気がしない…(@_@)

 

 

「…一々抱き着くのやめてください」

確かヒルダ・ハーケンってラクスガチ恋勢という設定があった気がする。

ラクスだけが特別じゃなくて、本物の同性愛者ってやつ。そういう設定のキャラってなかなかいないから、覚えてた。

つまりこれは先輩パイロットのスキンシップではなく、セクハラって事になるのか?

「ダメかい?」

「ダメっていうか、出合頭に抱き着かれたら驚くし、心臓に悪いですよ」

「まぁ、そりゃそうか」

素直に離れると、リミと同じようにギャンを見上げた。

「気に入らないかい?」

「…機体に罪はないですけどね」

「ふうん。確かに隊長大好きなあんたからしたら、これの前のパイロットのことを知ったら微妙な気持ちになるのは解るよ」

ファウンデーション事変の前後までターミナルにいたのだ、ある程度以上の情報は持っているだろうし、前パイロットの癖を知るために周囲に聞き込みもしただろうし。

「----隊長大好きって、私ってそんなに解りやすいですかね?」

「最初から親密な空気出してたじゃないか」

「幼年学校時代からの友人なので」

「なるほど。アスランと同じか」

「嫌ですね。私はあんなに短気ですぐに暴力に訴えるなんてしませんよ?」

それはそれはいい笑顔で、自分を見上げてきたリミを見て、ヒルダは「坊主と同じ反応だね」と内心で微笑ましい苦笑をした。

「それで、その個人的な感情のわだかまりを抜きにして、これをどう思う?」

「可もなく、不可もなく…如何にも量産系ですね。これから私好みに調整していきます」

「まだだったのかい?」

「大まかには終わりました。これからは微調整です」

そう言って軽く敬礼すると、リミは床を蹴ってコクピットへ向かった。

ミレニアムは明日から哨戒任務に出る。

確かに以前よりは出撃は少ない。だが、ゼロではない。

正直、近接はそれほど得意ではないが、贅沢は言っていられない。どの陣営も新しい機体を用意する余裕はない。

オーブは今、AAの後継艦の建造中だし、余りオーブからの供出ばかりが増えても、理事国のパワーバランス的によくないし。

ある物は使わなければ。

武装を幾つか取り換えて、機動性を調節していけば何とかなるだろう。

これは自分一人で出来るものではないから、整備士達とも相談しながらになる。ギャンについている筆頭整備士は、ヴィーノだ。

ギャンが配備されてからずっとギャン付きだったらしい。

…運命の頃からミネルバにいたし、腕はいいんだろう、多分、きっと。

”つくづく元ミネルバ・クルーが多いわよね”

それだって、最初はキラにとっては負担だったのではないか?それ以外も殆どがザフトからだし、オーブからの人員はキラだけだ。

心細くなかった訳がない。

頼れる人なんて、そう簡単に出来る筈もない。

”それをあの男は…!”

誰に何を言われようが、リミの思考回路はキラ中心に動くのだ。

リミはコクピット内で数秒目を閉じて、意識を切り替えた。