ここ数年では珍しく連続投稿。
真剣に見てくるリミに、二人が白旗を挙げる。
「ごめん、リミ。それ…ちょっと頷けない」
「わたくしも、ですわ」
心底申し訳なさそうな二人に、リミは慌てて両手をブンブンと振った。
「やだ、別に二人を責めるつもりなんてないのよ」
気を取り直す為にリミは大きく息を吐いた。
「何となく解ってるって言ったでしょ。でもごめん、確信したかったから訊いたんだけど、傷つけちゃったね」
「いや、リミだって悪くないよ」
最初からずっとAAで一緒だったのだ。
キラが大きく傷ついていたのはリミも知っている。そしてリミだって散々泣いていたのをキラも知っている。
ただあれから長い時間離れていて、キラやラクスが再び戦場に戻って以降の事をリミは知らないから、きちんと知っておきたかったという気持ちは理解できる。
「いいの。二人がそうだとしてもそれは仕方ないって思うから。でも、何時かは…二人が自分自身の事許して、本当に幸せになってくれればなって、私の希望」
そうしてリミはバッグから一冊のファイルを取り出した。
ラクスの髪色と同じ、優しいピンク色。
「これは?」
「見てみて」
「----これ!」
二人が瞠目して、次にリミへ視線を戻した。
「データに落とし込んだ方がいいとは思ったんだけど、布の質感とかはやっぱり本物の方がいいと思ってサンプル付き」
最後の方が少しゴワゴワしているのはその為か。
「そういえばリミの母親って」
「そう。ファッションデザイナー」
「まぁ」
中にあったのは幾つのもブライダル衣装のデザイン。
スタンダードなウェディングドレスだけではなく、お色直し用のカクテルドレスや見たことのない衣装。
時間が足りなかったのか、こっちはラフスケッチながらヴェールやコサージュまでもある。
そして数は少ないながら男性用のものまで。
「キラの方は軍礼装とかあるかもしれないけど」
「…もしかして、ルリ・タカノブランドって、リミのお母様なのですか?」
「そう。ラクスには言う暇なかったけど、隠してたみたいになってごめん」
「いえ、それは別に構わないのですが…これは…」
こんな時代であっても、美しいものを求める気持ちまではなくなっていないから、そういった職業も当然機能している。
「二人が結婚する時に使ってもらえたら嬉しいなって」
紅茶を飲み干してニッコリ笑う。
「いやでも、これ…ルリおばさんに頼んだらいくらかかるの…てか、これだけでも普通お金かかるよね!?」
「ああ、それは私とお母さんからの結婚祝いって事で。勿論、他に頼むところが決まってたら別よ?」
でもねー、キラ。
確かにうちのお母さん一流と言われてるけど、あなたたち二人の稼ぎからしたらどうって事ないでしょー。
などと思いながら、立ち上がる。
「じゃぁ、今日はこれで帰るね。それどうするかは二人で決めて」
「ありがとう、リミ」
「そうそう、デザインの一部を変えたいとかもOKだから」
「大事に見させていただきますわ」
ひらひらと手を振って出て言ったリミを見送って、キラとラクスは顔を見合わせて微笑みあった。
も、もうちょっと…(+_+)